
1966年に発表された、ヴァースケの傑作機。「小さいカメラ」について語るときにこれを避けて通ることはできません。サイズと性能という2点については、この段階でほぼ完成していました。あとは、いかに使いやすくしていくか、みたいな競争です。
手元にあるのは、職場の恩師に随分前にいただいたTesserタイプのシンガポール35。いただいてしばらくは、リバーサルを入れて持ち歩いていました。遠出する時のサブとしても使ったり。そういう用途に問題なく答えてくれる色のりと解像度があるカメラです。


極めて特徴的なデザインです。前から見た時の意匠はハイドスコープ譲りの丸三つ。絞り、レンズ、シャッターダイヤル。上面もシンプルで、シャッターボタン、追針式露出系のメーター、レンズ収納ボタン、巻き上げレバー。巻き上げは、1作動で随分広い巻き上げ角度を持ちます。
レンズをひき出して少し回転させるとカチッと固定され、使えるようになります。ちゃんとレンズが固定されていないと、シャッターも押せません。また、巻き上げが完了していないとレンズを沈胴させることもできません。つまり、「常に巻き上げてある」ことが大前提のカメラです。

底面には色々とぎっしり詰まっていて、ホットシュー、フイルムカウンター、裏蓋のロックレバー、三脚穴、巻き戻しクランクが並びます。巻き戻しクランクの軸はクランクとは独立して回転するので、正しくフイルムがセットされたかどうかを巻き上げ時の軸の回転で確認できます。
ホットシューが下、というのが良いかどうかは議論のタネで、Rollei自身も1990年のClassicでは上に移動させています。ただ、使っていた経験からだと、別に下にあっても不便ではなかったし、ストロボのデザインによってはカメラグリップを兼ねさせることもできたので、特に移動させなくても良かったのでは(逆に上につけると重量バランスが心配)、と思います。当然ですが、レンズシャッターなので1/500までの全速でストロボが同調するわけで、結構使い方によっては面白いのです。

裏蓋は取り外し型。フイルムは右から左へ逆さに走るタイプ。370gありますから、小さいけれど、手に持つとずっしりとしています。中身は機械の塊なので、落としたりぶつけたりするとダメージも大きいです。使うときのポイントは兎にも角にも「目測で距離をつかむ」ことに慣れること、これに尽きます。なれてしまえば別にどうということもないことなのですが。あと、ここまで開けないと「電池の交換ができない」のも忘れてはいけません。そうそう電池は消耗しないし、単に外光式の露出計なので電池がなくなってもさほどのダメージはないのですけど。




そして、いうまでもなくよく写ります。ピントが目測というのもどうということはありません。さすが、傑作と呼ばれるだけるだけのことはあります。
使用にあたっての「お作法」、重さ、あたりが課題だったのだと思いますし、それが後に続く「小さいカメラたち」がチャレンジしていくテーマともなったのだろうと考えると、なかなかに興味深いです。