Anything Goes (again) ...

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「無線と実験」と誠文堂新光社

 誠文堂新光社の雑誌を買うのは何十年ぶりでしょうか。「子供の科学」を毎月買っていた時以来か、単発的に「天文ガイド」を買ったあと以来、かも。
 SR-71Aのせいで、というか、おかげで、音楽に対する熱意がだんだん復活してきてしまっていて、MJをつい買ってしまいました。この、ディープな感じが懐かしくもここちよい。と、同時にショックだったことは、この分野がいまでもとてつもなく「元気」だという現実。読者の「売ります買いますゆずってください」コーナーが盛況で何ページにもわたっている…うらやましい限りです。
 モデルカーズの該当コーナーも昔はこんな感じでした。僕もここで雑誌のバックナンバーとか調達したことがあります。が、いまでは一ページの半分もありません。カー模型の趣味は文化として枯渇寸前なのかもしれない…

 とまれ、MJ、楽しいです。へたするとそのうちまた半田ごてを電気回路用につかいはじめるかも。ホワイトメタル盛るのじゃなくて。

 で、ひとつ感じた文化的違和感がありまして。模型とか写真とかのレビューと、音楽関係のレビューでは、なんというか肌触りが違います。もちろん、どちらも最終的にはけったいな宗教戦争になりがちなところは一緒なんですが。音楽関係レビューはスタートラインが評者の感覚というか主観の延長にある、というところのせいかな、と。いうまでもなく、それは対象が目からはいるものか、耳からはいるものか、という違いでしょう。前者は、脳が解釈する段階はともかく、第一段階は共有できます。後者は、そもそも「聞く」行為自体が高度に主観的なものだから。
 たとえば、最近目についたオンガクヒョーロンカの言葉なんだけれど「オーディオの本にも書いているのですが、音楽CDはプレーヤーで一度読み込んでからイジェクトしてもう一度読み込むと、音が緻密になるんです。iTunesで取り込むときも同じなので、ドライブにて一度読み込んだらイジェクトして、もう一度入れてということをやっています」……なんだろう、これ。CDプレーヤーの場合は「一度読み込んで」「イジェクトして読み込み直す」というのは、回転軸の安定とかそういう意味があるだろうし、だからこそ「オーディオの本にも書いている」わけだけれど、iTunesリッピングするということは、デジタルデータを取り込むということだからなんの関係もないでしょうが。まあ、この方、「音楽は低音だ」なんていう、これまた中2病っぽいことのたまう方なのでそんなもの、なのだろうけれど、なんだか萎えます。主観って、なんか怖いというか無責任になっちゃうヒトもいるのね、と。

#このヒト、iPodClassic用にedition8が良い、とほめているんだけれど、そのクラスのヘッドホンに至る前にiPodのヘッドホン端子
#の限界にぶつかるよ、ということは考えないあたり、宣伝マンなんでしょうねえ…
#edition8は気になっている一本だけれど、こういうのを見るとちょっと一歩ひいて考えるようになってしまう。
#もっとも、スピーカーの音の特徴に「スピード感」なんて言っている人だから真に受けるほうが頭どうかしている、といわれればそれまで。


 こんなことを考えたのは最近になって某有名ジャズ評論家がだしたマンガ評論の本を読んでしまったため。いきなり、冒頭から漫画と直接関係ない個人的な経験からはじまり、なんだかんだいってその個人的な経験を軸として評論していく、というおそろしいしろもので、あまりにもえぐくて途中で読むのをやめました。音楽評論ならば経験者の主観をとおさないと評価はみえてこないからよいのだけれど、漫画という客体がしっかり存在している世界でこれやられると気持ち悪いマスターベーションにつきあわされている気分になります。もちろん、評価者の体験や経験をもってして初めて評価そのものが生きてくるのは確かに事実なのだけれど、度を超したものは気持ち悪いだけです。

 ただ、この「漫画評論」、評者の一人称が「俺」だといういい年して恥ずかしい中2病だったり、そもそも日本語が破綻していて文法的に意味がとれないところが多すぎたり(いつも思うけどこれは編集にも責任があります。天下の平凡社も人材不足ですかね…)主観と客観を論じるどころか一冊の本としての出来が「それ以前」なんですけどねえ…

 カバー買いすると時折こういう失敗がまぎれこみます。できるだけ中をぱらぱらしてから買う(そうしていればこの程度のものははじけます)ようにはしてるんだけれど、たまにいきおいでまとめ買いしちゃうからなあ…と反省。

 えーと、もどります。つまり音楽関係の評論を活用するコツはずばり「自分と同質の主観的感性を持つ評者をかぎわける」こと、これにつきます。でも、結構むずかしいんだよね。書籍の評価はあてになるけれど映像作品については真逆(こいつがけなしたら自分には面白い、みたいな)だったりもするので。でも、CDやオーティオ機器は簡単にはぱらぱらできませんからねえ…