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ミノルタ16用 デイロード16 白昼現像タンク(Minolta Dayload 16 for 16mm Film)

 

 ミノルタは16mm時代に少なくとも二種類の専用現像タンクを出していました。一つは通常の、ダークバッグで装填するタイプ、もう一つがこの白昼現像用タンクです。

 これが、変わっている、というか妙に凝った作りになっています。説明書の「ミノルタ16専用の現像タンクですので、JISB7178に規定するパトローネを有する16ミリフイルムにのみ使用できます」の文言が良い味わいです。なので、「フイルムの長さはJISに規定する寸法(475±10mm)より相当長いもの(約+50mm以上)は使用できません」と続きます。

 外形は、一部が四角く突出したデザインと、上からバネで押さえ込む「タンクカバー押さえバネ」が特徴的。

 四角い突出部にはパトローネがセットされます。蓋に白い矢印がありますが、これはフイルムをタンクの溝にロードするための矢印で、「攪拌用」ではありません。また、この形のために蓋部分をねじ固定できなかったのでバネの押さえがついたものと思われます。

 

 

 蓋部分を裏返すと、バトローネをセットする場所が「二つ」あります。同時に二本の現像ができる(タンクの溝も二段ある)のです。JISサイズの長さのフイルムを一巻きするようになっているため、外径にこのサイズが必要なのです。注意点としては、同時に2本現像する場合はそれぞれのフイルムの長さが同じでなければならない、というところ。ちなみに、必要な液量は450cc。結構いるな。

 ちょっと問題なのは、「バトローネを折ってセット」しなければならない点。タンク蓋の回転でロードするのはミノックスのタンクと同趣旨なのですが、これが惜しい。パトローネを壊さなきゃならないのです。最も、タンクサイズを抑えるためだったのでしょうけれど。

 

 さらに、ここにどうやってフイルムをセットするのか、なのですが…

 

 はい、「フイルムの先端にホッチキスを止めて、そのホッチキス部分をタンクの溝にはめる」という荒技です。それにこれ、フイルムを完全に巻き込んじゃった場合は結局ダークバッグのお世話になるしかないです。

 現像が終わったら、取り出したフイルムのホッチキス部分をクリップでとめ、パトローネを錘の代わりにぶら下げて乾燥するようです。

 フイルムをロードした後は通常の現像作業ですが、中央の軸部分を回してはいけません。せっかくロードしたフイルムが引っ張られてしまう。つまり、攪拌は「タンク自体を上下または水平に振る」ことで行います。

 うーん、面白いけれど、普通にナイコール型タンクとステンレスリールの方が使いやすそうです。あるいは、当時ならKingのベルト式も普通に使えたでしょうし、「白昼現像」にこだわる人用、だったのでしょう。フイルム文化の一つ、と言えます。