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Vesterbox35(タンクの歴史)

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 ちょうどタイミングが、というやつでオークションで入手したVesterboxの35mm版です。例によって、使い方はRondinaxのサイトから勉強。Rondinax35のマニュアルを見ていると、現像液は200ml使用。液の投入・排出時にもリールは回転させ続ける、とあってやはり「忙しい」のですこれ。仕組みとしてはシンブルで、フイルムの先端をクリップで掴み、リールに巻き込み、内蔵のカッターでパトローネから切断、後は一緒です。あと、まだ標準のパトローネというものが一般化されていない時代なので、ライカコンタックス、ロボット、とそれぞれに合わせてフィルム室を設定するようになっていたりします。
 このVersterbox、1952年の鈴木八郎氏の「タンク現像の実際」によると「平皿とタンク現像の合の子」と言う位置づけになっていて、なるほど、となりました。(ジュニア、という暗室を必要とするモデルはこの本を見るまで存在も知らなかった)
 ちなみに、本書には「全然暗室を使用しないでフイルムを現像したいということは、フイルムが発明されて以来の願望であるらしく」の言葉があり、ここでも強く納得してしまったり。
 Rondinax系は今でも利用者が多いみたいでこんなの https://www.thingiverse.com/thing:3688596 も出ていたりします。やはりみんなリールを回し続けるのが大変なんだ…

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 さて、せっかくなので使ってみます。ケントメア400を巻いてテスト撮影したもの。入手したモデルはリール軸にクランクが付いているので回転は楽そうです。いつもの一浴現像定着液を使ってみます。当然のようにリール軸からの液漏れが予想されるのでバットの上で作業(液漏れ、しました…)。

 現像が終わった状態。廃液の際に、今回も革ベルトの細かいゴミが一緒に出てきました。この辺りも経年を考えたら仕方のないところでしょう。

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 で、こんな感じ。

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 確かに、液漏れとベルトの劣化がなければ手軽に現像できるのはメリットです。キングのデイロード形式に比べても半分の液量ですみます。ただ、「今」日常的に使うとすると少し厳しい。Lab-Boxみたいな現代版がどれくらい広まるか、というあたりが勝負でしょうかねえ。問題は、慣れてくるとダークバッグでの巻き込み操作なんか全く苦にならなくなる、というところだからなあ。