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メディカ シゲール万能ミニ現像器(シゲールは明所現像器のパイオニア)

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 「暗室のいらない現像処理」というのも一つの目標地点でした。古くは、「持ち歩き用の暗室」だったところを器具によってそれを不要にする。最近ではKickstaterにでていたLab-Boxがその系譜をうけついでいますし、少し前だとキングからデイロードというタンクも出ていました。暗室不要の路線は大きく2種類で、「リールへの巻き込み作業を明所で行う」タイプ(デイロードやLab-Box、ミノックスの純正現像タンクがこれ)と、「そもそもフィルムをパトローネからださない」(シゲールやダークレス、いわゆるどんぶり現像がこれ)タイプがあります。
 シゲールは今はなき、フジダークレス現像器の先祖みたいな感じ。昭和48年に、岡山茂という方が「暗室不要パトローネ内に於けるフイルムフリー回転によるパトローネ浴現像法」」というタイトルの特許を取得しています。また、マイクロメモA-4型という商品に「暗室なしで現像できる現像器がついていて」とあるのが「シゲール現像器」となっています。会社名が「メディカ」だし、趣味のものというよりも専門的な道具としてでていたのかも。写真工業1973-11「テストレポート シゲール万能ミニ現像器 / 三位信夫 」によると、その時点で「10年ほど前」に「シゲール白昼現像器」が発売されていた、ということなのでやはり1963年前後に起源を持つ商品ということみたいです。シゲールについての情報って少ないのですが、https://dinosauria.exblog.jp/18764388/で触れられている「昭和39年の特許」がおそらくその「シゲール白昼現像器」のものと思われます。
 写真工業の三位氏の記事では「むらについては、通常のタンク現像でもおこるときはおこる」とし、シゲール現像器を結構ほめています。また、フジのダークレスと異なるところは「定着液はアンプルではなくポリの小瓶」(入手したものは空っぽになっていました)、「36枚撮りフィルムへの対応は、定着を外部で(必要に応じてハイポで自製する)」というところでしょうか。本体の蓋部分もダークレスの方が二重になって回転しやすくなっていて、このあたりのは後発の強み、かな。
 テストリポートで興味深いのは、シゲールの現像液(アンプルに入っている)は現像の進行を調節するために定着成分が含まれている、という部分。たぶん、ダークレスの現像液も同様なのでしょう。問題はどちらも現行製品ではないので、ためすには期限切れした薬品を使わざるをえない、というところ。フジも、ダークレス現像液セットくらいは現行で残してくれればよかったのに…

 

 さて、手に入れたからにはためしてみたいわけです。まずはフィルムの問題。ダークレスと同様「自分で巻いた」やつは軸にテープでとめているので使えません。同様にコダック純正もだめ。36枚どりはちょっと作業が忙しくなりそうだからできれば20枚どり、24枚どりでためしたいところ。そうすると、なかなかないのですよね。カメスズさんに並んでいるフィルムたちもだいたい36枚どりだし。と、いうわけで手持ちの期限切れPresto400の24枚どりを使うことにしました。

 

 次は薬剤ですが、やはりオリジナルのアンプルをあけるのはもったいない気がします。手元には冷蔵保存してあるダークレス用薬剤もあるのでそれを使うか、どうするか。少し悩んだ結果、先日調整した一浴現像定着液をためしてみることにしました。現像液8ml分使い切り。

 

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 フイルムの端を折り返してタンクにセットします、ダークレスは放射状の溝のどこにでも収められますが、シゲールは位置が決まっています。現像液を入れ、フィルムと蓋をセットして、あとはひたすら左右に回転し続ける。ダークレスのようなクランクになっていないので、あまり長い時間続けるとくたびれそうです。パトローネの向きはダークレスと逆で、凸部分のある方が上(なので、二重蓋の必要がないのだと思います)。

 

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 で、問題なく現像終了。RTS III、Sプラナー60で撮って歩いた一コマです。簡単に現像できるのは確かだし、フジのダークレスの取り扱いが終わってしまっている今、どこかがこのタイプの現像キットを発売してもいい気がするんですけどねえ。下手するとダイソーあたりからでないかしら。
 
 追記:おそらく、この万能ミニ現像機の特許と思われるものが昭和48年に出願されていました。特開昭 48 95835というものです。