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美スズ シゲール白昼現像機(これも一つの始祖)

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 過去に一度ヤフオクでニアミスし、ようやく、実物に遭遇できました。昭和39年の「シゲール白昼現像タンク」。この美スズ(元 美篶)というメーカーはミゼットを出していたところではないですか。Pat.番号も一致するし、昭39-32768の特許出願書類の図のまんま、です。付属の「シゲールオート微粒子現像液」は一浴現像定着型です(瓶にはいっているとはいえ、さすがにこれは年数的に使えないと思います…)

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 先に触れた「シゲール万能ミニ現像器」の発売がメディカという会社だったので、美スズ社が途中で手放したのでしょう。

 特許図の通り、こちらは「ミニ」よりもひと回り大きく、側面に液量の目盛りが入っていたり、蓋にセットする温度計がついてきていたり、小さなフイルムクリップもついてきたり、と、つくりも丁寧です。簡易型というよりも、丁寧に小型化した現像タンク、というイメージ。たぶんこのあとミニマムな部分だけを残して不要部分をきりつめたものが「ミニ」なのでしょう。シゲール→シゲールミニ→ダークレス、という系譜なのかな。他にもあるのかどうか…(実は、メディカが昭和51年にダークレスを追うようにクランク型の簡易現像器の特許申請をしている -岡山茂の名前はなし- ので、こちらが製品化されていればもう一種あるはず、なのだけれど…)
 
 この現像器、使用する液量は30-40mlと、この手のものとしては多めです。さらに、説明書には「カラースライド現像 約1時間」とか「白黒スライド現像 約30分」とか気になる表記が。一応「市販現像キットを使いますが」との但し書きあり。今じゃそんなの売ってませんからねえ…

 さて、このスタイルのものなので、16枚どりか20枚どり用、となっています。現在入手できる白黒フイルムはだいたい36枚どりなのでこのあたりも考えないといけません。例によって長巻からまいたものは軸のテープがはがれるからだめだし。で、結局フジのパトローネに2.5mmの穴を二つ開けたフィルムをセットする、という手でフイルムをつくりました。

 使ってみた上での感想など。

 まず、蓋が複雑です。菱形のマークをあわせた位置にセットしないといけません。その状態で、蓋ごとフイルム軸の左右回転を行なうのですが、これが「ほぼ五回転分」しか動きません。これがポイントで、16枚撮りなら問題なさそうですが、20枚撮りだとフイルムの後ろの方の攪拌が難しそう。しっかり回転させるとなるとクランク形式のほうがいいと思いますし、回転数の制限がある時点でむずかしそう。

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 一浴現象定着液を使って試した結果がこれ。回転不足によるムラがあったり、と、改善の要素は結構ありますが、それらはだいたい最終形態のダークレスでは解消される類のもの、です。必要とする液量といい、回転のさせやすさといい、フジのダークレスシステムが一つの完成系かな、と。復活させてくれるとよいのだけれどなあ。

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