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一浴現像定着液(中学生の頃から響いていた魅惑の単語)

 中学生の頃から、気になっていたのがこれ。ただ、自分にとっては実用性があまりなさそうなので試すことなく今までウン十年を過ごしてきました。最近、歯科用X線フィルムを処理するのにこれが使われている、ということに気が付いて興味が再燃。歯科用のものは当然ながら組成がはっきりしません(企業秘密かしら)。で、いろいろ調べていくと、「単に現像液に定着液をまぜただけ」の例とか、いろいろでてきてこれはこれで面白そう。
 文献検索にかけると、多くの論文がヒットします。これは、一時期に「迅速処理」の一つの方向性として一浴式が注目されていたからのようです。論文群を読みながら昔ならひとつひとつ複写以来をださなくてはならなかったものがオンラインで一望のもとに読めてしまう、という現代の素敵さを堪能したり。あと、千葉大の三位信夫先生という方が数多くの文献を残しているのを発見したり。
 一浴処理で完結していなくても、シゲールやダークレスのように現像処理のストッパーとして現像液に定着成分を調合している、という例もあって実は結構役に立つものなのではないか、と思ったりもしています。
 基本的には、調整した後の液の保存性は低い、繰り返しの使用もあまりできない、というあたりは共通した特性のようです。歯科レントゲン用の溶液もそんなにお値段高くなさそうなのでそのうちためしてみようか、などと考えています。たぶん、普通のフィルム用とするならば希釈して使えるだろうし。Kick-StarterのLab-Boxも二液混合型の一浴式を採用していたし。もしかするとちょっとした流行り?

 手持ちがなかったメタ硼酸ナトリウムを森本化成さんに発注し、 http://tomo79.cocolog-nifty.com/camera/2007/05/post_5b64.html さんの内容を参考にとりあえず200ml分を調整して使ってみました。つくってみてわかることは「濃い」な、ということで、目的が目的なので当然なのですが試薬を大量に使うスタイルです。常用なんかしたら単薬のストックがすぐに底をつきそう。
 処方ですが、上のサイトを参考にして、

A液 750ml
無水亜流酸ソーダ 34g
フェニドン 1.2g
ハイドロキノン 12g
メタ硼酸ナトリウム 0.5g
無水炭酸ソーダ 26g

B液 250ml
チオ硫酸ソーダ 78g
ブロムカリ 1g

 で、調整しました。水温が低めなので、ちょっと長めに15分処理。ネガにはコントラストの高い像がでています。ただ、妙な茶色のカブリが全体に出ていることと、波打つような定着ムラがみられるところが改善の余地あり、です。カブリについては例によって期限切れフィルムなのでなんともいえないところではあるのですが、ムラはたぶん薬剤の強さに対して攪拌が不十分だったのでしょう。

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 結果は、悪くないです。逆にこれでダークレス現像とかためしたらいいのかな。200mlで二回現像してみましたが問題なく処理できました。保管しているとだめになりそうだから連続でつかうのなら、という条件付きですが何本かはいけそうです。