Anything Goes (again) ...

Yahooブログから移りました

ビタミンC現像(液は濃く、像は薄い)

 ビタミンCは還元剤として現像の主剤にもなる、という話があります。さらにE-72やE-76とは異なり、フェニドンやメトールもつかわない処方がある、というのでこれもやってみようか、と。これも調べていると頭が痛くなってくるはなしでありまして… 一番簡単な処方がビタミンCと炭酸ナトリウムのみ。うん、試すならこれかな。もう少し手広くやっている気配なのがHB-N2という処方なのだけど、これはフェニドン、アスコルビン酸ナトリウム(ビタミンC)、亜硫酸ナトリウムを使っていて、それぞれ小さじ一杯分溶かすとか。ん?フェニドンそんな量いれて簡単に溶けるの?とか、「有害なハイドロキノンを使っていないから下水に流せる」とか言うけどうーむ、という感じ。

 HB-N2のオリジナルはフェニドン1.0g、ビタミンC2.0g、無水亜硫酸ナトリウム4.0gをメスアップして1,000mlとのことなので、ここから「小さじ換算」がでてきたみたいです。そもそもHB-N1からして、「使用薬品量を減らすことで環境への負担を減らす」目的で開発されているので、そういう方向性の表現が付きまとうのだろうとは思うけれど、オリジナルの里氏の論文も「薬品濃度が低く」くらいの表現でハイドロキノンの有害性(?)とかに踏み込んだものではないんだけれどなあ。そういえば「現像液に使われる薬品は劇薬なので注意を」とかいう記述も某所で見ました。現像用試薬のうち、水酸化ナトリウム以外で劇薬指定されているものってなんかあったかな?「劇薬」の定義から学びましょうね、というレベルのはなしだろうなあ。まあ、せっかくビタミンCで現像するぞ、とおもっている時にフェニドンとか入っている処方にするのはちょっともったいないのでHBシリーズも今回はパス。

 見ていて一番シンブルなのがダークレス現像の例でビタミンC 5g、炭酸ナトリウム5gをフィルムケース半量の水(15mlくらいか)に溶かす、というもので、マップカメラさんのブログでこの記述をみかけました。プログには出典とかがないのでこの処方がマップカメラさんのオリジナルなのか、どこかに元があるのかわかりませんが、今の所ビタミンCと炭酸ナトリウムのみの処方ってほかではみかけないんですよねえ。うーむ、ちょっと濃い気がするけど、一般的な主剤がないのだからこんなものなのか。某掲示板では「1lにビタミンC8gくらい必要」という文言をみたけれど、あれはそれ以上の情報もないし、E-76処方だとすれば他のものも必要だしなあ、とか。で、マップカメラさんとこのこれをステンレスタンクで200ml使うとなるとさすがにちょっとした量です。「使用薬品を減らす」どころの騒ぎじゃあありません(笑)。
 具体的には、15mlに5gというのをそのまま200mlにすると60gを超えます。これはいくらなんでも濃すぎやしないか。たぶん、ダークレス現像機で使うことを前提に濃くしてあるのではないか、と考えました。ダークレス現像機は手持ちがあるので、「そのままの再現」をしても良いのですが、用意してある撮影済みフィルムは軸にセロテープでとめているのでたぶん現像中に外れてしまうでしょう。なので、やはりいつものステンレスタンクでの現像にします。とりあえず、炭酸ナトリウムとビタミンCが「等量」というところに着目し、CCMのコーヒーのかわりにビタミンCの増量、というスタイルでやってみたところ、「像が薄い」。現像はできているのだけれど、とても像とはいえないほどに薄い。
 ので、仕方なく薬品量を増やしました。とはいっても60gというのはやりすぎな気がするので半量の30g。つまり、200ml中に炭酸ナトリウム30g、ビタミンC30g、という組成(これでもむちゃくちゃだな…)で、現像15分、水洗、定着、としました。これで、まだ薄くはあるけれどネガがとれました。なるほど、ビタミンCで現像できるな、と。

 像は薄く、粒子も粗いです。あまり実用性はない、かな。それにこれ、いままでで一番「体に悪い」現像液だと思います。なにしろ、アルカリで手がぬるぬるする。まあ、下水に流せば配管くらいはきれいになるかもしれません。「ハイドロキノンを使っていないだけ」で、健康にも環境にもやさしくはないですな、これ。

イメージ 1