Anything Goes (again) ...

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うさんくさい「高音質」

デジタル処理とエラー訂正のはなし、なんてーのはどこにでもある常識なのでいちいちおさらいしません。
デジタルってなんですか、アナログってなんですか、というはなしも同様。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090324-00000527-san-ent にある

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CDを超えたCD人気 奥行き、臨場感 よみがえる名盤
3月24日9時43分配信 産経新聞
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の記事なんだけれど、なんというか…
記者さんが聞き比べた結果のコメントがひどい。

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 サラ・ヴォーン「枯葉」(1982年録音)はユニバーサルミュージックが発売中の「ジャズ・ザ・ベスト・レジェンダリー150」シリーズの1枚。SHM仕様は、中高音域がよりクリアに、奥行きも深まった気がする。従来のCD特有の人工的な印象も薄らいでいて、ジャズ喫茶で聴いたLPレコードに近い音を思わせる。
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「CDよりもLPレコードに近い音」ということは、単純に音質は劣化しているわけですね(笑)。しかも「ジャズ喫茶で聞いた」ときたもんだ。頼むから「音質」についてレビューしてくださいよ。それとも、ここ、失笑するところですか?
まあ、このくだりに限らず「気がする」「思われる」のオンパレードで、近頃流行の「裏付け取材をしないエセ記者」の臭いがします。もちろん、実際問題「市民記者」なんてものの大半がこの水準であることは公然の秘密ですが。

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【用語解説】高音質CD
 平成19年11月、ユニバーサルミュージックと日本ビクターが共同開発したSHM(スーパー・ハイ・マテリアル)が発売。メモリーテックのHQ(ハイ・クオリティー)、ソニー・ミュージック・エンタテインメントのBlue-spec(ブルースペック)が続いた。素材や製作法に微妙な違いはあるが、いずれもマスター音源の透明度や立体感を引き立たせることに成功しているようだ。
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「用語解説」ですら「しているよーだ」とはもうなにをかいわんや。いや、正直ではあるのか。
ようするに、昔の雰囲気に対するノスタルジーに金の臭いを嗅ぎ取った人たちがいる、ということです。
リマスターしていれば「旧版よりも音がよい」のは当然のこと。もともとCDのすみっこにはDDDとか書かれていたのを忘れちゃったんでしょうかね。ディスクの素材を贅沢にして回転時の安定性を増加させた高音質LPなんかとはそもそもの発想の次元が違うのだけれど、その時代の発想のままでいると「高音質CD」にころりといかされちゃうのかもしれない。

払う金を持っている人が何に金をつかおうが勝手ですし、こういうのも消費活動ではあるわけで景気のためにはどんどん「高音質CD」を買ってもらえばいいんだけれど、「高音質」と、高音質とはまったく別物だ、というややこしい語感の混沌は気持ち悪いし不誠実だと思いますね。

まあ、携帯で音楽きいたりする人もふえたし、携帯のスピーカー程度の音質でステレオがどうの高音質スピーカーがこうの、と問題視するのと似たような世界なのかもしれない。その割には本当の高音質ヘッドホンも結構売れているみたいなのが解せませんが…