Anything Goes (again) ...

Yahooブログから移りました

Bookscanという会社

いろいろと気になるのでサイトを見てみた。

>http://www.bookscan.co.jp/ 
   ね。とりあえず、4/20 15:00現在まだあります。

>BOOKSCAN(ブックスキャン)は、書籍を裁断しスキャナーで読み取り、PDF化するサービスです。
>『本が好きだけど、本棚はいっぱいだし、本をたくさん買いたいのに 場所的に置く場所がなくて困ってる』という方のためのサービスです。
>お客様に書籍を弊社まで送って頂き、1ページづつスキャンし、全ページPDF化したデータをメールもしくはCD-R形式で納品致します。
>またPDF形式で保存されたデータは、AppleiPadAmazonKindleなどの様々な電子書籍リーダーで閲覧頂けます。
>また、現状100円でサービスを維持させるために、制約事項が多数ございます。こちらを必ずお読み下さい。

うーむ。「本が好き」な人間が、置く場所がないという理由で本を裁断して捨てるという行為にお金払いますかね?
どちらかというとデータ化して役にたてたいけれど本自体はどうなってもいい、人のような気がする。
「自炊」派の人たちのブログとか見ていると、本を買う→すぐ裁断・スキャン→すぐ捨てる、という流れができているみたいで、美食家がなにかたべるたびに吐き戻して次の食べ物に手をつける、みたいな気配なんですが。いいとか悪いとかではなく、それって「本が好き」なわけではけっしてないと思う、と。

で、「スキャン代金を、低価格で維持するため」の「制限事項」。
いろいろあるのだけれど、おかしいのがこれ。

>発売後、原則5年以上経過している書籍は、読み込みエラー発生率が高いため、現在は対応しておりませんのでご了承ください。

本の保存状態によるのであって5年とかの年数ではないと思う。(というか最初は2年とかいってなかったか?)
届いた本をチェックして、だめそうなら返送する、というのですむはなし。年数制限いれる理由って、うがった見方くらいしかおもいつかない。まあ、コストの事考えると基本的に「返送をしたくない」のでしょうけどね。

>スキャン中に万が一のトラブルもございます。貴重な書籍は依頼されませんようお願い致します。
>1冊あたり定価5,000円以上の書籍は、受け付けておりませんのでご了承ください。

これも意味不明。「貴重な書籍」といえども「スキャン中」の時点で裁断された後であり、あとは捨てられるだけのはずなんだが。
値段も、部数等の設定によって異なるものであって5000円というしばりの意味は不明。本のことを知らない人が会社をつくったのではないかと思えてくる。自炊派による自炊派のための自炊会社?

>裁断しスキャン後5%以上読み込めない箇所がある書籍は、対象となる書籍のスキャン代金を返金致します。

これも微妙だよね。5%以上読みこめないかどうか、という点を裁断前に判断できないのか。で、裁断しました、やってみました、だめでした。100円返します。本はもうゴミだから捨てました、なわけですね。たとえスキャンで失敗してもするのは返金だけで、裁断後の本ですら返送はしてもらえない。古紙再生業者とくっついているんじゃないか的勢いです。まあ、これは客がそれで納得すればすむ話だが、自分なら絶対に嫌だな。プロなら裁断前になんらかのかたちで判断しろよ、と。「5年しばり」と一緒だけれど、ビジネスとしても素人臭がします。

>また、PDF変換後のデータの取り扱いは、法令遵守でお願い致します。

ここはネタなのかしら。スキャンからPDF変換の作業自体が現行法を遵守していないのに。

>また、弊社でスキャン出来ない書籍でも、もしかするとFedEx Kinko'sさんや、ペパレスさんなどででもスキャンして頂けるかもしれません。

なんてことを書いていますが…たとえばKinko'sの場合、

>http://www.kinkos.co.jp/copy_print/digital.html

>紙文書データ化 (スキャンtoファイル)
>保管に困った大判図面や大量の書類をデータ化。CD-Rにてお渡しいたします。会議資料や経理文書、設計図などオフィスに必要だけど
>かさばる書類はデータ管理で業務効率や生産性の向上、コスト削減につながります。書類からポスターサイズの対応が可能です。
>保存形式や解像度についてはスタッフまでお気軽にお問い合わせ下さい。

>オフィスでかさばる、マニュアルや社内文書をデータ化ですっきり!
>年度の報告書や税務書類、過去の社内文書等、捨てられないけれど保管が必要な書類がオフィスにあふれていませんか?
>保管スペースの確保ができなかったり、必要な時に書類がみつけられないといったお悩みはありませんか?
>書類をデータ化することによって、保管場所のコスト削減や作業効率の向上ができます。
>データはCD-Rにてお渡しいたします。ホチキス留めや製本をしてある書類もおまかせ下さい。
>※著作権を侵害する書類は対応できません。

とあって、どうみてもこちらの「サービス」とは違います。原則として著作権の問題の発生しない社内文書のスキャンを代行するサービス。つまり、Kinko'sでは「著作権を侵害する」ためにスキャンできないものが逆にBookscanのターゲットなわけで、FedExの名前を引き合いにだすのは、FedExにとってはいい迷惑でしょうね。

また、ペパレスでは、
>http://pepaless.com/8-copywrite.php

>私的複製の範疇をこえるものの、①条文が想定する権利侵害が一切行われておらず被害者がいない→②権利者から訴えられる
>こともなく、万一の際も実質的損害が無いので違法性無しとして訴えが成立しない→との帰結から直ちに取締りの対象とはならない
>と考えます。
> 健全な行為にも関わらず違法・グレーゾーンとして扱わるのも時代の変化の過程において、ある程度は致し方ないことと考えます。
>事業者の行為をただ単純に悪とせず、大量複製や不特定多数への著作物無断公開など条文の本来守ろうとするものに的を絞った表現で
>明文化し、昨今の時代のニーズにあわせて著作権法をより洗練されたものとして頂きたいと考える次第です。

と、逆に現行法の改正のために突っ張っています的な宣言があるわけで、これもまたBookscanとは立ち位置がちょっと違う。

ちなみに、Bookscanでの「著作権意識」は、
>http://www.bookscan.co.jp/law.php

>現行の法律のままですと、ご自分でスキャンするのはOKですが、第三者に依頼することはNGだそうです。
>BOOKSCANへご依頼頂いたものは、著作権法に基づき、著作権保有者の許可があるものとして判断させて頂きます。

「だそうです」って…大丈夫か、この会社。
しかしこれ、どうなんだろう。個人が購入した書籍の「著作権」は購入した個人に移動してはいないので。それを明白な第三者
金銭契約による複製作業の委託として提供するにあたって、「著作権保有者の許可があるもの」として判断できるのか?
これは、著作権違反が親告罪というかたちになっていて、実際の著作権者が文句をいうのがなかなか困難な現実に寄りかかった文言に見えるのだけれど。

と、いうわけで、興味深くないとはいわないけれど、いろいろな意味で素人っぽい。
著作権者もそうだけれど、FedExやペパレスからも訴えられないといいね、としかいえませんね。