「どの映画に似ているのか」という視点で劇場に向かう限り、けっして満足することはできません。
もちろん、インディジョーンズでは「ない」し、ハムナプトラでも「ない」。アクションが「売り」なんぞという事実もどこにもありません。色眼鏡は事故の素。
「アデル」は「アデル」です。
Yahooの映画評をみている限り「すごく期待できる」(笑)気はしていまたしが、よもやここまでとは。
#それにしてもどうして「予告と違う」「イメージと違う」という「文句」が成立するんだろう。
#最近の「お笑い」って毒もスピードも知性もないものほど受ける、みたいなので。そういう意味ではこの映画は観客と相容れることは無いのかなあ。
日本人がよろこぶゆっくりのんびり展開でないとついていけなくなる人にとっては、山のようなネタが高速で大量にくりだされるこの映画からはおいていかれるでしょう。
リュックベッソンて、そんなに「見に行く」監督ではないのだけれど、今回だけは気になって見に行きました。
結果、大正解。おもしろそう、とは思っていたけれど、こんなに大満足のオモシロサだったなんて、うれしい誤算です。
アリスですさまじいがっかりを経験しているのでなおさらこの驚きがうれしい。
どこまでもおしゃれ、はてしなくおばか。
いわゆる、「言葉遊び」を映像で堪能、という場面が大量に含まれています。その流れにのることができないと、繰り返されるコメディシークェンスからおいていかれて「ギャグがわからない」と嘆くはめに陥るかもしれません。
なかには、「やるぞやるぞ」とひっばっておいて「ああ、やっばりやったよ、おばかだよ(褒め言葉)」という展開もたくさん。
「笑い」についてはなんのひねりもなく直球です。それも豪速球。
(変装→つまみだされ)*(食事→鬼ごっこ+羊)のシークエンスなんか必要最小限の絵でマシンガンのようにせめてきます。
#ちょいとばかりポワトリンですが。もしかして監督、ポワトリン見てた?
さらに、音声がフランス語なので字幕を追うのに懸命になってしまうと、なおのこと映像からおいていかれるかも。
脳の潤滑を最大にひっばりあげて見るのがおすすめです。
もっとも、モンティパイソンしかり、「はれぶた」しかり、で、この手の超高速ギャグのみだれうち、みたいなのって日本人にはあんまりむかないものなのかもしれませんねえ。
それにしても、俳優陣が個性豊かでぜいたくです。なんだか画面の雰囲気はVIDOQを軽妙かつおしゃれにシフトさせたような感じかも、とか思います。なんというか、フランス映画が「ハリウッドスタイル」についてどう思っているか、みたいな(笑)
うん、おしゃれです。ピラミッドをつくるべき的におしゃれです。
#現代のルーブルにはピラミッドがつくられたのでもちろん「おしゃれ」そのものです。
2時間がぜんぜん感じられないハイテンポコメディ。監督がコメディを意識して撮るのは初めて、というけれど、どうしてどうして、見事なものです。ミイラ達もよい味をだしているしなあ。彼らこの後エジプトかえってどうするんだろう。二度寝?
おもちゃだすなら、「ミイラ製造機」と「教授人形」のセットがほしいなあ。
リアルタイプのアデルとかはでそうだけれど。
とりあえず全部ラクダなんだよなあ。
P.S.「魔法にかけられて」と比較している方がいて、ああ、なるほど、と納得。
非現実的現実感みたいな雰囲気とか近いかも。主役の雰囲気も。
アデルの冒頭を思い出して少し理解できたことは、「インディみたかったよー」と騒いでいる人たちにとって、彼らが唯一楽しめた
冒頭10分が、露骨に「インディ的なナニカ」を馬鹿にしまくったシーンであったことがトラウマになったのかもしれませんね。
とりあえず「言葉を覚えて」、「本でも読めば?」というのもぐさっと来ていたりして(笑)