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清洲会議(らっきょうとかさざえの)

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 「喜劇ではない」と監督自身が釘をさしていても、どうしても「喜劇・コメディ」を期待してしまうのは観客の我が儘なのであって、ですね。
 上手な群像劇です。人々の個性豊かな思惑を背景に、それぞれの言動がからみあって結末にむかう、という流れのうまさは三谷映画ならではの「きっちり感」。そのなかに、小ネタのようにくすりと笑えるシーンもたくさんもりこまれているのだけれど、それでも「時代劇」であるという大前提は崩れない、崩せない、というあたりに評価の難しさがあるのかもしれない。
 清洲会議です。なので、発端も、展開も、結末も、その後の展開もすべて周知の上で観客は見る訳です。逆にそうでなければ、日本の歴史を全く知らないとか、それぞれの武将達についての前知識が皆無であるとかだと、表層しか楽しめません。そのあたりの線引きとヒントは映画パンフレットの「各武将の似顔絵」にも芽核に主張されている、のだけれどなあ。
 三谷監督はこういう映画もとれるのだなあ、という感想と、そうそう、この人はたぶんほんとにこういう人だったろうなあ、という着地点。多分に実験作的な側面もあるけれど、一本の映画として見事にまとまっているし、あれだけの數の登場人物達の個性がそれぞれちゃんととんがっていて贅沢にお腹いっぱいになります。
 それにしても、妻夫木氏はスープ以来こういう演技ばかりが定着しているような気がする。

 更級さんの登場は、全開に引き続いて三谷ワールドが今後、メタに統括されていく可能性を再確認させてくれたし、今後がもっと楽しみになりました。