Anything Goes (again) ...

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アナと雪の女王 (親の教育に問題あり…)

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 アンデルセンベース、と聞いたとき、あのどこか重い空気の漂うものをどうするのか、と一抹の不安を感じたのですが、例の一曲まるまる使った予告編で期待が高まりました。某主役の演技がぐだぐだだった飛行機映画とは違ってこちらは予告編だけでも十分魅力的だし本編の魅力も感じさせる仕上がり。
 次に、「ディズニー初のダブルヒロイン」というキーフレーズがきてさらに混乱。と、いうのもディズニー・ヒロイン、とくれば恋愛的ハッピーエンド、という展開がなんとなく既定路線のような気がしていたからです。いや、この段階で大間違い。考えてみれば前触れはいろいろあったわけです。このプロデューサーの前作はシュガーラッシュでした。それに、ハリウッドだってなんでもかんでもバカみたいに恋愛にしたりはしなくなっている(パシフィックリムなんかそのおかげで上品な後味を残す事に成功しています)わけで…

 さて本編です。歌については元の歌手の声の質を考えると松たかこのは上手だけどなんか違う、感じ。いや、そんなことなくても当然字幕で見たわけですが。歌と美しくて迫力有るCG、テンポの早い展開、複雑な伏線とかもなく物語は一本道。正統派の娯楽大作です。ひねりが無い分ストレートに楽しめる。

 ポイントはエルサの魔力の原因に触れていない事。呪いではなく「生まれつき」。この物語の前半が悲劇的展開となっているのは、生まれつきの、すなわちエルサの個性の一つである魔力に対して、家族があたかもそれを呪いであるかのように扱ったせいです。見せないように、気づかれないように隠し通す。そのため、エルサたちはこっそり遊び、そこから事故も起きる。悪いのは両親であり、「そういうアドバイスをした」妖精です。

 この物語は、間違った教育で人との接し方、自分らしさとの向き合いをしそこねてしまった姉妹が、なんとか自分の力で前向きに生きて行くことができるようになるまで、という成長の物語。だから、そこでポイントとなる「真実の愛」は当然、姉妹の愛に他ならない。そして、だからこそ、ダブルヒロインだった、ということ。子供の個性を認められない親や大人達から自立していく子供へのエール、といった物語。

 考えてみれば、新キャリーもそうだったように、女性クリエイターが台頭してきたからこそつくることができる物語、です。まともな男性キャラがオラフしかいない、恋愛的な展開は王子とのものしか描かれない、恋愛なんぞでお茶を濁すよりも大事なことがあるんだよ、といういさぎよさ。

 そういう意味で、これは新しいディズニーの物語かもしれません。ここから、さらに新たにつむぎだされるものが楽しみでしかたありません。

 あ、あと、おまけのミニアニメが新人の勘違いアニメではなく、ちゃんとしたディズニー(昔の)アニメです。ウォルトの声を使い、スクリーンのあっちとこっちを縦横無尽にかけむぐるメタでスラップスティックなギャグアニメ。主役達の性格の悪さ、特にミニーマウスの残酷さは今だからこそ新鮮かもしれません。そうそう、アニメってこんなだったよなあ、と。