Anything Goes (again) ...

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しあわせはどこにある(犬がんばった!)

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 「幸せとは何か」という青臭い問い立ては、哲学者や宗教学者がやりたがる奴。あと、「自分探しの旅」とかいうあやしげな自己啓発とかも。
今回は、精神科医が患者とのやり取りの中で行き詰まって「幸せとは何か」を問う旅に出る、というおはなし。
 この設定だけで普通なら絶対に見に行かないタイプの映画なのだけれど、なにせ主演がサイモン・ペグ。共演がロザムンド・パイク、ということで、俳優目的で見に行きました。
 結果、思っていたものとは全然違って面白かった。「幸せの定義」は最後まで明確にはなりません。そりゃそうだ、それは「自分が感じるもの」だから。この物語のポイントは「主人公が幸せを感じられるようになるまでの物語」です。そのための旅、そのための過去の清算、そのための出会い。でも、それでおわらせないのがずるいところで、主人公の恩師が開発した「おもちゃ」で「本人が感じている感情」を可視化し、その中で過去に記録されたことのないような巨大で複雑な「幸せ」を記録するクライマックス。
 少年時代から続く飛行機への憧れ、仲が良かった飼い犬との死別と喪失、大学時代の友人や恋人との関係、自分にないものを求め、自分が選択しなかった過去を確かめようとする、地球をひとまわりして帰ってきたときには、お互いに不器用だった恋人とも少しだけ素直になれて、ここからまた幸せを感じながら生きて行く、という物語。世界を股にかけたド派手な「青い鳥」です。
 ところどころコメディ的な展開もあるけれどそこを違和感なく飄々とこなせるのはサイモン・ペグならではです。ドラえもん体形のままのジャンレノもいい味出してたし。