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コングレス未来学会議(監督のレム愛)

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 レムの原作を舞台モチーフとしながら、メインストーリーを独自なものにし、そのかわり「レム的なもの」を大量にちりばめた作品。すさまじく手間がかかっているし、浅くも深くも楽しめる。とりあえず、「ハリウッドスタイルへの批判」あたりから入って、「現実とイメージ」に迷い込んで、「母と子」や「老いの受容」とかとすれ違って、最終的に「じゃあどうしたいのさ」というところにたどりつく。
 キューブリックへのオマージュとして、爆弾にのっかってさのまま落ちていくシーンがモノクロで展開するとか、SciFiはダメだ、というレムがいいそうなセリフからドラッグによる幻想とない交ぜになった世界の不安定な自由さ。アニメパートには様々なオマージュがあふれ、さながらサマーウォーズのOzを「ちゃんとリアルに表現したらこうだろうなあ」という感じ。ここでは、心の有り様が現実にダイレクトに反映する。
 実写パートとアニメーションパートを現実とドラッグ、と受け止めているうちにだんだん境目が不明瞭になっていく。息子の立ち位置だってSTのクリストファー・パイクみたいな側面がある。「現実」ってどうやってきめるのか、と。
 そういう一筋縄でいかない空気もレムです。よくぞつくってくれました、という感じの一本。