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「ガールズ&パンサー 劇場版」(ボコで腹話術もすればよかったのになあ)

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 年明けにふとしたことから(というか話題についていこうかと)TV、OVAを一気にみてしまったためにそのまま劇場へ。大画面と音響の迫力はすさまじいし、TVシリーズに対するサービスも大量。物語の展開も巧妙でまったく目をはなせないまま一気に走りさっていきます。みんなが見たかったものはこれなんだよね、という楽しみは自動的に「ガルパンはいいぞ!」以外の感想を許さなくなる、感じ。
 ガルパンは、もともとその存在を知ってはいて、戦車は気になるけどキャラクターの造形がなんとなく「とおり一遍のかわいい系」なせいで見ていなかったのでした。ネタにのっかるためには見ておこうかな、くらいの気持ちで入ってみたらずぶずぶと沼へ。これ、キャラクターの書き分けも戦車の区別も、できなくてもかまわないつくりな上、さらに区別がついてくるたびに別の味わい方ができる、という巧妙な構造をしています。逆に言えば、例えば映画版をみた後の「感想」としてでてくる言葉が「キャラの区別がつかなかった」という人は、この物語構造に「乗ることができなかった」人なのだろうな、と。
 個人的には初見のTV一話は冒頭のシーン以外はだらだらとどこかで見たような物語が続くので少し辛かったのでした。なんだ、逆境ナインの女子版か、と(ある意味間違ってはいないのだけど)。ただ第一話は具を外に向けたサンドイッチになっていて、冒頭の戦車道試合のシーンとラストの学園艦のひきのシーン(!!)ですべてをひっくりかえして全取りする罠でした。個人的には学園艦でやられました。ビューティフルドリーマーで、友引町が亀にのっていたシーンのように。
 音楽がマーチ系、ということでそのまま自然の摂理のように1941テーマへのオマージュみたいだな、と思っていたら、ずばり観覧車のミフネ作戦に見せ場があったり、映画好きもにやりとする仕組みあり。よもやの対カール戦あり、BT-42のクリスティー式の見せ場あり、対T28戦あり(当然のように外部履帯もはずすし)、という戦車好きはもう何度でもみたくなる展開。(劇場版展開をしているPLATZはカールもだすのかしら)
 「戦車」という男の子の通過儀礼(大概の男の子は子供の頃にTiger-1やキングタイガーやM4シャーマンのプラモデルをつくっているのです)を満たしてくれる映像のこだわり。実は、「戦車がでてくる映画」というものはたくさんあるけれど、「男の子のみたい戦車の活躍」を見られる作品はほとんどなかったのです。あのFuryだって、中盤のTiger-1無双のシーンくらいしかない。強いて言えば1941のシャーマンだけどあれもなんか違う(カラフルにはなるけど)わけで、謎カーボンとCGとスタッフのこだわりを乗せることで、大洗の街中を全力で作戦行動する戦車をいくらでもみられるなんて。
ガルパンはいいぞ!」以外に言いようがありません(笑)。

 ただ、TV版から続いて「文科省がわかりやすい悪役」というのが残念です。これ、頭の悪い大学人が自分たちの不手際を隠すためにいつもなんでも「文科省のせい」にしている構図と重なって見えてしまう。せっかく戦車道というパーツを創造したのだから専属の省庁を一つつくっちゃえばよかったのに。できれば、大洗の生徒会がTVシリーズ冒頭で「嫌味な敵キャラから頼れる仲間に変わる」立ち位置シフトをみせてくれたように、新しい展開で「どうして文科省がこんなにもみえみえな悪役に徹するようなことをしていたのか」が語られると良いかな。戦車道そのものの存続の危機が迫っていて、みたいな。
 大学選抜の「後」のリーグの展開等、続編構成のためのしかけも十分にあります。たぶん、興行的にもうまくいっているでしょう。半年くらい待てば続報もありそう。自動車部のメンバーの「夢」である学園艦GPだって見てみたいじゃないですか。

P.S.
 3度目の劇場版をあの4DXで見てきました。さながら遊園地のアトラクションです。戦車のエンジンの振動の使い分け、カメラ視点にあわせた椅子の傾き調節、良いタイミングで吹いてくる風、すべて大正解。シャボン玉とスモークはちょっとやりすぎるとスクリーンが見づらくなるので注意、ですが、これは楽しい。
 カールからの着弾シーンも期待していたのだけれどこちらは意外と普通でした。爆音にいかないとだめか。対して、BT-42とCV33それぞれの見せ場は椅子の角度調節、振動のコンビネーションで迫力倍増。これらのシーンのためだけに4DXいくのもあり、です。

P.P.S.
 と、いうわけで4DXを体験してしまったので、立川の爆音上映へ。シネマツー、ここはマッドマックス以来です。4DXのような椅子の動きや風はないのですが、音圧で座席は震えるし音響の立体感は4DXよりも上だし迫力は遜色なし、というか4DXより上。なによりもカールの弾が着弾した時の迫力はまさに「これを体験したかった」の一言につきます。
 しかし、ブーストかけた時のポルシェティーガーにあった「ステルス」ボタン、何を搭載していたのやら。
 あとは、4DXの中での動作調整のバリエーション、ですかねえ…