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高慢と偏見とゾンビ(ちゃんと「高慢と偏見」)

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 セス・グレアム・スミスの初小説(とはいえジェイン・オースティンの「原作」にのっかっているので微妙ではある)の映画化。セスはこのあと、リンカーンがゾンビ狩りをする物語を紡ぐわけですな。
 タイトルのインバクトで十二分にパワフルな本作ですが、なによりも衝撃的な点は実に忠実に「高慢と偏見」である、ということ。原作の物語はゾンビが入ったくらいではゆるがない、のか、ゾンビという存在はそもそもそういうものなのか。そして、もうひとつが「実に愚直なまでに王道を貫くゾンビ映画」でもある、ということ。ロメロ作品からつらなる「ゾンビ映画にこれは必須」という約束事はきちんとこなしています。なので、ジェイン・オースティンのファンも、ゾンビのファンもどちらも楽しめる素敵なつくり。サム・ライリーのダーシーは影のある不器用なツンデレとしてばっちりだし、コリンズ役のマット・スミスの異形さはコミカルなまでに気持ち悪く(笑)、このベタな恋愛物語に花をそえます。
 個人的にはもう少しアクションのシーンがあってもいいのに、とは思うけれど、物語としてはこんなところでしょう。もし、予習してからみよう、という方はぜひ、セス版ではなくオリジナルの「高慢と偏見」を読んでから、をおすすめします。ちなみに、セス版を読んでしまうと「ああ、映画の予算がもっとあればこれもあれも」と欲求不満になる危険性あり(笑)。
 そして、ゾンビをぬきにしても、エリザベスとダーシーの無骨で不器用なツンデレコンビのガチンコの恋愛の様態は感動もの。とくに、白馬にまたがって颯爽と助けに行く姿にはほれぼれします。
 はじめのころにダーシーに頭をふきとばされた夫人のゾンビがリズに何を言おうとしていたのか気になるなあ…