Anything Goes (again) ...

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本能寺ホテル(からっぽ)

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 もったいない。この一言につきる普通作。なんだろう、この全編に漂う残念な空気。俳優集めて、お金かけて、それでこれ?まず、脚本がべったべたに薄っぺらい上に展開が普通すぎです。なんというか、売れている作品をお手本に学生がつくったレポートみたいな感じ。さらにそれを受けて、演出が通り一遍です。なにひとつ驚きもないし印象に残るものもない。アイデアはよいのにもったいない。最後のシーンなんか本当にセットをもやしているのにもったいない。
 主人公の婚約者をはじめとして、感情移入ができないほどのクズが大勢(というか登場人物の大半)でてきます。特にひどいのが「女性の描写」で、主人公の同僚や、ホテルにおしかける大阪のおばちゃん、婚約者の同級生、のきなみ下品で見ていて辛くなる描写ばかり。特に同僚がランチしているシーンの気持ち悪さは凄まじい。挙げ句の果てに信長はすごくいい人になっているし主人公の素っ頓狂な性格は狂言回しですらなくなっているし、これ本当に配役にあてがきした脚本なのかしら。だとすると綾瀬はるかって相当アレなイメージを持たれていたのね…
 信長の遺体は見つかっていない、という本能寺の変をモチーフにエレベーターをつないだというのに、そのあたりの物語も「いい人」で流してしまうのでまったくアイデアが生きていません。脚本のドタバタがあった、ということを引き算したとしても、それで余裕のなくなった制作進行の部分に脚本家と監督の安易な世界観をべたべたとのせてしまったのではないか、と思えます。少なくとも、バンフレットから読み取れる範囲では脚本には監督の意向も相当もりこまれている気配なので、たぶんそうなのだろうな、と。
 「平和な世をつくりたい」ので「自分が死んで秀吉に統一させる」400年後の未来を残そうとする、というのがストーリー。でも、信長の性格を考えたら主人公をもっと質問ぜめにするだろうし、なによりも「遺体が見つかっていない」以上信長がここで自決する必要性すらなくなっているわけで、物語としてもう少しなんとかできただろうになあ、という残念感が漂います。明智光秀もこれはないんじゃないの?という酷さだし、せっかく一手先に秀吉に書状を送ったのにそれもまったく生きてこないし、ほんと、いろいろと中途半端。まあ、悪い意味で期待を裏切られる、というのは斬新ではある、のかな? 予告編の「それでは、歴史が変わってしまいます」のセリフもなんの重みもないし、そもそも「過去に行った」時点で改変原因としては十分だろうし、なによりも行くたびにチラシだの薬だの金平糖だの履物だのを置いてきている以上「改変」を気にするのもナンセンスでしょ。

 もったいない、ということと、所詮、テレビ局主導の「邦画」ってやっぱりこんなもんかしらね、という。ところで戦国時代に残してきた「のんだらすぐ効く胃薬」、京都のどこで売っているのでしょう。あれだけは魅力的だった、かな。

 あ、そうそう、それでも「見たことを後悔」したり「途中で映画館を出たくなったり」はしませんでした。つまりそれくらいの出来、です。