Anything Goes (again) ...

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ローガン(アクションを忘れなかったイーストウッド、みたいな)

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 えーと、X-Menシリーズっていままで見たことがないのでこれが初、です。今までの作品は予告編を見ても見事なまでに何一つ心を動かされるものがなかったのだけれど今回はちょっとだけ違ったので。とはいえ、なんかイーストウッド臭がする、という嫌な予感もあり。結果、案の定「アクションを忘れていないイーストウッド」でした。パンフにも言及があるので監督たちも意識していたフシも。
 いろいろと物語はがたがたなのでつっこみどころは山ほどあります。その足で子供達に追いつくはずがないじゃん、とか、まあいろいろいろいろ。ただ、それをローガンとプロフェッサーの「老い」に重ねることで雰囲気の力技でねじふせようとした印象。一言で言ってしまえばこの二人を格好よく退場させるための作品、です。ローガンのほうは新旧交代の意味合いもあり。脚本と演出は、なんというか、控えめに言って「雑」です。うーむ。スタン爺さんがでてこなかったのにはわけがあるのかしら。ファミリーもののロードムービーと、お涙的感動をつくろうとしすぎたために随所にテンポの悪い「感動ポイント」があり、意味のよくわからないヒステリーシーンだとかによる「老い」の強調とか、そういうのが好きなお客さん向けのサービスがてんこもりです。
 作品世界としては、本編のパラレルな未来らしいけれど、一応前作のサムライからは繋がっているようです。しかし、ミュータント絶滅の理由がなあ。なんですかね、この「水道水にフッ素入れたから虫歯はなくなりました」みたいなの。これ、国が貧乏だったり僻地だったり、意識高い自給自足系の生活していたりすれば今でも天然のミュータントは生まれてきているわけですな。あと、なぜか今回のウルヴァリンはヒーリングファクターがきれはじめていて、そのせいで死にかけてます。しかもそれが「埋め込まれたアダマンティウムによる中毒」という設定。その毒、首を切っても死なないとまでいわれたウルヴァリンのヒーリングファクターを上回るわけ?もしそうなら普通の人なんかアダマンティウムを「触っただけ」で死ぬレベルなんでないの?という具合に、設定的にはX-Men世界をぶちこわしかねない代物でした(いや、だから今回それはぶちこわされているのですが)。
 この世界観の中では、結論としてウルブァリンのヒーリングファクターの移植によって誕生した俺ちゃんが最優秀ミュータント、ということになるので、デッドプール2あたりでネタにしてくるに違いないです。今後の展開としては、ウルヴァリンは後継者ができたわけだし、X教授もテレビシリーズで息子さんががんばりそうだし、万が一今作がパラレルものでなかったとしてもなんとかなりそう。

 ローラ役のダフネ・キーンが掘り出し物だった、ということと、パトリック・スチュワートが実に楽しそうだった、というあたりが見どころ。やっぱりイーストウッド系って肌にあわないのでR15にしてアクションシーンちゃんといれてくれてよかったです。

 ところでラストシーン、わざわざ墓標をひっこぬいて傾けていくのが「十字架をXにした」とか、パンフレットの説明見るまでわからなかった。この子なにやってんの?としか。まあ、「そういう映画」でした。