Anything Goes (again) ...

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スイスアーミーマン(よく撮ったなこれ、という満足感)

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 そもそもタイトルが意味不明で、事前の情報ではさっぱり中身が想像できない、という。蓋をあけてみたらスイスともアーミーとも関係なく、ようはビクトリノックス的十得ナイフ男。なぜか多才な死体のメニーと、むちゃくちゃ手先は器用なのにどこかへたれなハンクの二人旅(?)で、すっごくくだらない映像と、しんみりするシーンとの不思議な連携がよくわからないうちに「映画を見た」という満足感を醸成していきます。ほんと、なんだこれ(ほめてます)。
 物語はほとんどないに等しく、メニーの神秘性にも説明なんかなく、父親との葛藤ですら最後の笑顔のせいでないに等しく、ただひたすらラドクリフとダノのラブラブ珍道中を愛でる一本。ポップコーンはたべたなくなるし、ラドクリフの左目の演技がすごすぎて(ほんとすごい)びっくりするし、もう少しでアベンジャーズ入りできそうなくらい死体のメニーは万能だし(冷静に考えれば十分にスーパーヒーローなのよね)、で、いやほんと、なんだこれ(ほめてます)。途中で「本当に死んでるのは誰なのか」とかいろいろ考えてしまうのが人の「かしこさ」なのですが、それらすべてをラストの「おなら」でカタをつけるという頭の悪い(ほめてます)監督チームのダニエルズ。あえてこの路線に終始するあたり、実に小気味よく痛快で、次作がすでに楽しみです。
 「好きな仕事しかしない」宣言のダニエル・ラドクリフ会心の一本。エマ・ワトソンがいろいろ頑張っていてるのになかなかイメージの払拭に成功していないように見えるのに対して、安定した独自路線をつくっていけそうです。
 観客としてはこの作品を「受け付けられない」人とそうでない人との間には強烈なギャップがありそう。個人的にはこの作品を見てくすりともできなかったような人とはあまり近くにいたくないです。くび傾げながら大笑いして、なんだかへんな映画だったねえ、とか、言いたい(笑)。

 それにしても、海外ではMV出身の映画監督って良作をものすることが多いイメージなのに、なんで日本ではああなんだろうなあ。