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トータルリコール

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バーホーベン版は悪友たちと今はなき渋谷の東急(レックスだったかパンテオンだったか…)でみた覚えがあります。
ディックがこんなにも大量に映画化される作家になっちゃうなんて夢にも思わなかったという驚き。
ブレードランナーから始まったからかねえ。まあ、たしかに一発のネタの力強さにみちた短編群なんかは映画化ネタの宝庫だし、もうこうしてbased onが当然になってくるとさらに多様な着想による映画化が、という雪崩もおきそう。

#とはいえ、ゴールデンマンの映画化はちょっとぶっ飛んでいたけれど、ね。

さて、トータルリコール。背景が複雑なんだけど、ようするにダン・オバノンの書いたシュワちゃん版のリメイク、なんですな。だからオバノンはちゃんとクレジットされている。(ブロメテウスと一緒)随所に、バーホーベン版へのオマージュがちりばめられてます。場所によっては台詞がまんま一緒、とか。ふとったおばちゃんの滞在二週間ネタも健在(笑)

しかし、映像はブレードランナー。いみじくもリドリースコットがプロメテウスのインタビューで「今だったら中国も」みたいに言っている通り、雑多なチャイナタウンの喧噪も丁寧につくりこんであります。エアカーのデザインもなんだか近い。ディック的なゆさぶりもちょろりとはいれてあって、がんばっている感じはあるし、ラスト前のイベントもそういう偽物的シチュエーションとしては良好です。意外とちゃんと伏線回収しているし。

それにしても、セット、CG、展開、ときっちりとつくられた良作。シュワちゃん版よりもこっちのほうが面白いと思うのに、どうして評判が悪いのかわからん。前作とディックの名前があれば宣伝しなくてもイケる、と勝手に思い込んだ制作会社が宣伝費をケチったせいじゃないの、とか思います。少なくとも、プロメテウスがエイリアンシリーズの世界を大前提にしているためにちょっと一見さんには敷居が高くなっているのにくらべたらこっちのほうがエンターテインメント性としてはばっちり。カタルシスもかっちり。

#予断だけど、「カタルシス」って言葉を大人になっても知らないヒトってどれくらいいるのかな。
#先日「そんな難しい言葉は普通の人は遣わないと言われた」という話を耳にしてカルチャーショック。
#いや、ちょっとは本読もうよ、みたいな。

さて、ディック関連としては、ブレードランナー0が話題にあがっていますが、でてはきえるユービックにも期待大。スキャナー程までの期待はしないけれどディックワールド前回でつくってほしい。劇場販売のグッズではUBIKスプレーとジョーチップコインを売ってほしい。
今回のトータルリコールみたいに前売りもムビチケもグッズもなし、というのは勘弁してほしいなあ。
今回は、ハヤカワ文庫一冊と、実質的にデイック年表となっている(笑)映画のプログラムが収穫でしたが。