Anything Goes (again) ...

Yahooブログから移りました

エンダーのゲーム(もちろん、ゲートは下)

イメージ 1

 正直に告白すれば、ハヤカワSF文庫で原作が出版され、SF界隈で盛り上がっていた時、僕自身は冷めた感覚で一歩ひいていたし、良く出来ている話だとは思ったけれどそれほどの思い入れもなかった。ラストのどんでん返しはうまいけれど、ヴァレンタインやピーターとのからみはちょっと食傷気味というか物語の軸足はどこなの、と不満だったり。
 ただ、映画化のはなしがでるたびに立ち消えになっていたものがとうとう公開される、と聞いた時はやはりSF者としての興味は首をもたげてくるし、エンダーにエイサ・バターフィールド、というのも気になってくるし、と、いうわけで見てきました。
 見るまでに感じていた不安要素は文庫二冊分の物語を二時間におしこむにあたって原作のどこを取捨選択したのか、ということでしたが、それは杞憂でした。というか、逆に原作における個人的な中だるみ部分がきれいにオミットされて、物語の中心軸がぶれずに最後まで一本貫かれていたのにびっくり。これは、良い仕事です。原作の名台詞、名シーンの押さえ方もうまい。
 ただ、ちょっと難しいな、と感じたのは、・原作既読であれば、よくこの時間にうまくおさめた、と思うところが、・原作しらずにとっては 詰め込み過ぎ、あるいは説明が足りない、と感じてしまうかもしれない、ということ。とはいえ、一緒に見た原作未読者は「おもしろかった」そうなので、単に「受けての問題」だとも思いますが。
 制作が遅れまくったおかげで、映像表現はすばらしいです。宇宙モノのSFをつくるならばこういう絵をみたい、という。原作知っていると、みていて辛いシーンもある、けれど、それも含めて上手にきれいに映像化している。

 別の意味で気がかりなのは、この映画によって「エンダーを元ネタにしてつくられてきた作品」「エンダーにいんすぱいやされた作品」がモロバレになる、ということね。エヴァもそうだろうし、マクロスFなんてまんまだし。他にもぞろぞろあるはず。古典を蘇らせる、というのはそういうことだから。ファンやクリエイターの人達の今後の反応とか気になります。

 あと、前線基地惑星にあった遺跡、映画の流れからいってあれは「次の女王の卵を守る兵士」なのだけれど、「女王と邂逅した」と受け止めている人が結構いる気がする。最後の戦闘で人類側の被害も「1000人乗っていた輸送艦」を含めてほぼ全滅しているはず(リトルドクターもあの状態ではそのまま落下している)のだけれど、そのあたりももう少しはっきりさせてあげたほうがよかったのかな、とか。

 とはいえ、ジョンカーター、ローンレンジャー、から続くディズニーの古典復活は今回も良質な作品を送り出してくれました。ファウンデーションとか期待しちゃうよ?