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ウォルト・ディズニーの約束(コリンファレル物語的な)

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 メリーポピンズ制作の舞台裏、ときけばいかないわけにはいきません。頑固で有名だったトラヴァースの背景と内面をおしだすことで、ウォルトの懐の深さとメリーポピンズの世界観を復元してみせました。
 ある意味で、これはメリー・ポピンズのリメイクバージョンです。だって、どちらも「ミスターバンクスが解放される」はなしなのだから。
 懐かしい写真や映像、メロディの数々。

 しかし、そこに存在するもうひとつのポイントはコリン・ファレル演じる「父親」です。アルコールに耽溺することで現実から逃避するダメな、でもにくめない父親。この姿が駄目だからこそ、映画内のミスターバンクスが厳格で、そして、その厳格さが度を超すからこそ、さいごはみんなで「凧を上げる」エンドにむかうわけです。この終盤の展開で、この映画は「メリーポピンズという映画の現実サイドからの再話」という形態が完成します。父の命を救えなかった現実のナニーではなく、ひょうひょうとした、どこかにくめないけれどすごみのある喫煙者、ウォルトによって、トラバースの「物語」はしめくくられたのです。

 映画のスタイルとしてはニューシネマパラダイスに近い、けれど、雰囲気は「ヒューゴの不思議な発明」とも重なるかもしれない、そんな、映画好きにとっての佳作でした。