Anything Goes (again) ...

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荒野はつらいよ (もうすこし邦題なんとかなんなかったの?)

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 セス・マクファーレン監督の実質的なデビュー作、でいいのかね、これ。クリエイターとしては存分に名をあげているし監督としてもTedでブレイクしたセスが監督・脚本・主演、で一本やりたい放題やりましした、という作品。
 下品だとかなんだとかいいたがるヒトもいるみたいだけど、そもそもこういう悪ノリも映画の魅力の一つなので、相性の悪い方はどうぞ隣の箱へ、というほかはないなあ。というか、わかってて見に来て文句いうのって相当はずかしいので、ご自分の映画への嗅覚をきたえましょうね、としか。

 悪ノリです(笑)。しかも、あの人もこの人も、有名どころがそれにのっかりまくる贅沢。リーアム・ニーソンとデイジーの関係性にかかる「問題」について一晩くらい議論しないといけない。シャーリーズ・セロンの「巨乳」とか、アマンダ・セイフライドの「ギョロ目」とか、こういう悪ノリ遊びができちゃうっていうことは監督と俳優たちとの関係がすさまじく良好なんだろうし、きっと現場も楽しかったんだろうなあ、と思わせます。

 冷めた目で冷静冷徹にシニカルに「西部」を語るくせに、やっていることはド直球の西部劇。ささいないさかいと殺しあい、先住民とのかかわり、賞金首のお尋ね者、仕事をしない町長と保安官、荒野のガラガラヘビ、祭りでは誰か死ぬ、ワンセットきれいにそろってしかもラストは気持ちのいいハッピーエンド。音楽もモロです。カウボーイvsエイリアンの時は「地球外」の敵を設定することで先住民との共闘という理想を実現していたけれど、今回それをもたらすのは「ひきこもりのヲタク」である、というリアリティ(笑)

 マッチョも体育会系ものきなみ見事に馬鹿にされ、いろいろもらして退場していくあたり、監督の過去にもなにかあったのかな、とかんぐっちゃいます。

 それにしても、西部劇というジャンル自体はもう絶滅しかかっているのにもかかわらず、これといいジャンゴといい、vsエイリアンといい、搦め手から出てくる作品がその本質をしっかりどっしりと受け継いでいるあたり、映画って面白い。

 でも、真の主役はたぶん羊たちです。屋根に乗ったり写真運んだり、地表をうめつくしたり。なによりも「手入れを怠った羊」のすばらしいあいくるしさ。あれのフィギュアでないかなあ。

 口ひげの歌が気に入ったらiTunesで買えるサントラに収録されてますよ、とか、ところどころモンティパイソンとかメリー・ポピンズ風味の気配がしたりとか、たぶん何度もみればみるほど味わい深くなるタイプの名作です。
 Ted2も楽しみだなあ。