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100歳の華麗なる冒険(窓から逃げた100歳老人)

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 スウェーデン映画。原作をうまく縮めて改変することで予算と尺におさめる、というがんばりをみせました。原作でのアラン・カールソンの飄々とした性格はうまく表現されていて雰囲気も崩れていないのはさすがです。カットされたのはアジア関連ネタ、ベニーの兄弟からの話、あたりで、もったいないのはアランの特技のうちの「ひとつ」が表現されなかったこと、かな。
 20世紀をふりかえる歴史の旅としてもちょっともったいなかったけれど、中国や北朝鮮を題材にするはむずかしかったかもしれない。あと、ドイツと日本もあまりふれられていませんがこれは原作もそんな感じだからしかたなし。

 基本的にアランの無常感ただよう性格を堪能する物語です。ちょっとヴォネガット的かもしれない。ただ、アランが政治には無関心(というよりも政治を語る人間を信用しない)部分は比較的おさえめ。あまりブラックになりすぎないように配慮した気配もある。そう、残念な点をあげるとすればこの「お上品さ」です。(お上品なのよ、これでも)
 ただ、たとえばこれをギリアム監督が撮ったりすると今度はブラックに偏りすぎちゃって持ち味がずれちゃうきがするしむずかしいところ。

 そうそう、隠れた見所はアラン・カールソンがいつも持ち歩いているカメラです。時代がうつるにつれてカメラの機種もかわっていくあたり、細かいところにも気遣いあり、です。いや、そのカメラでその距離はピントあわないだろう、とかのツッコミはがまんしながらみましょうね。