Anything Goes (again) ...

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ゴーン・ガール(蓋をあければ普通の犬も食わないあれ)

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 フィンチャー監督の職人芸がこじゃれたサスペンスとブラックユーモアをまとめあげる、というある意味奇跡のような一本。
原作者が脚本を書いているので、別バージョンの本編でもあります。
 悪女と愚かな男が夫婦関係を見つめ直す物語。これは、ハッピーエンドなのだけれど共感は得にくいかもなあ。

 できれば、原作小説も「映画の後で」読むのがやはりおすすめです。女性視点からの世の男どもに対するリベンジの体裁でありながら、「やっていることは男どもと一緒だよ、それ?」という複雑なプロット。だからこそ、ラストのインパクトある一言につながる。あと、文庫版は上下のきれめが絶妙ですね。

 ただ、ネタバレだけど映画と原作両方みてしまうとこの作品が「ただの傍迷惑な夫婦喧嘩」(だからこそのコメディ要素)ということが明々白々になります。それぞれ偏った極端なもの同士の夫婦が、それぞれの立ち位置をみなおして相互の距離をうまくとりあう関係を再構築する、という物語。もっとも、もしなにかあったら失うものが多いのはエイミーのほうなのですが、そこについては小説も映画もおとぎ話の「めでたしめでたし」よろしく先送りで投げてしまっています。それゆえ、シニカルでブラックな笑いを巻き起こす王道(?)になりました。

 妹と刑事さんが気の毒、なのが心残りですが。

 パンフレットの町山氏の文章も絶妙です。総じておしゃれな一本。

 あと、ベン・アフレックの「あご」が物語のポイントになっているとかなんともいえない感じ(笑)「荒野はつらいよ」でのアマンダ・セイフライドみたいな感じ?