Anything Goes (again) ...

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インヒアレント・ヴァイス(ぱんけーき文化)

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 まさかのピンチョンをよもやのPTA。そしてフェニックス。気にならないはずがないしわかりやすいばすもない、と思っていたのだけれど、これが丁寧に普通につくられていてびっくり。
 ヤク漬けのダメおっさん探偵かと思っていたら「漬け」ではあるけれどやるときゃやる男前なホアキンだし、妙に存在感のあるブローリンおじさんだし。全体を通じて流れる退廃と揺籠の空気もうまい。流されながらも自己主張もせざるをえない、けれど時代の流れには結局抗えない、そういう感じがうまい。社会が騒乱と不安の混沌の中にあるからこそ、だらだらぐだぐだと身近なものにしがみつかざるを得ない生き様。
 ラストシーンのドックがやけにイケメンでかっこいいのもずるい。

 ねらいどころがバードマンとちょっと近い感じだけれど、作品としての完成度、突っ走り感その他で圧倒的な差がついたのが本作だという印象です。PTAと比べるとイニャリトゥ監督は「お行儀が良すぎる」のよね。