Anything Goes (again) ...

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龍三と七人の子分 (お孫さん用?)

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 北野ではなく、たけしの映画。と、いうか年取ったビートたけしの一人語りのために老優を集めた感。正直言ってREDのようなカタルシスを得ようと思ってみると肩透かしをくらいます。これは、昭和のわがままな、だけどどこか愛すべき年寄りの夢物語だから。
 夢物語と自分語りなので、物語は外へ向かったサービスには到達していないわけです。なので肩透かし。まあ、「そういう作品」と思ってみるべきでしょうか。
 ドラマの絵としてきっかけとなったという「老人が無料パスでバスに乗り、そのままのっとってカーチェイス」というシーンもどことなく牧歌的でもっさりしていて迫力もスピードもなし。どちらかというとここはたけし版の「笑ってはいけない」になってしまっていたり。
 家族とのやりとりとか、ペーソスをにじませても結局「いいおはなし」にはしないあたりは監督らしさ、ではあるけれど、それにしてもやはりどこか甘い。
おじいちゃんが孫を楽しませるために撮ったプライベートフィルムなんでないの?と思えるほど。
 ギャグをちりばめるつくりかたは逆に松本仁志の映画作りと同質のものを感じるし、いろいろな意味でもうちょっと銀幕に映える絵作りをして欲しかったかなあ、と、少し残念。
 とりあえず藤竜也近藤正臣のコンビは素晴らしいし、中尾彬の味わいも絶妙です。

 おもしろかったのは映画館が「お一人様のご老体」でうめつくされかけていたこと。このあたりはたけしの宣伝効果のうまさ、でしょうねえ。