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キングスマン(イカレた悪ノリと映画ネタ満載)

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 おぎょうぎの良いおはなしとか教訓を拝聴できるやつとかきれいごととかが好きなヒトは、たとえコリン・ファースがどれだけスタイリッシュでイケメンだからといってこういう素敵な映画を見に来てはいけません。そういうヒトにはそれなりの相応の映画というものがあるのだから、Rのついている箱に足をはこんじゃいけませんて。きれいごとが好きな方は近寄らないのが吉。
 そもそも、イギリスの文化というのは上品と下品が背中あわせに強烈に隣り合わせなところにあるわけで、ウィンブルドンで「イギリス紳士」を見ている時は当然フーリガンな「その裏も」あるよ、ということですな。モンティパイソンをBBCが放送していたように。この作品自体が「育ち」と「学び」を対峙させた構造になっているわけだけれど。
 えーと、つまり、これはマシュー・ボーンの最新作です。そういうこと。

 おしゃれなプラックジョークを楽しめる人にとってはご褒美のような一本です。

 スパイ映画には、まじめ系と、どたばたとんでもない系、というのがあるけれどこれは後者をつきつめた感じ。スーツ着たコリン・ファースにアクションさせた時点でもう出来栄えは決まっていたようなものです。そこに、悪役のサミェエル・L・ジャクソンのぶっとんだ良い感じ。様々な過去の映画へのオマージュを大量におりこみつつ(映画文化に対する教養試験的な側面もある。シャイニングとかマティーニとか)、物語本編はキングスマンの世代交代を踏むために比較的あっさり目です。ただ、登場人物は脇役も含めて全員癖の強いタイプばかりで、英国ジョークてんこ盛り。イギリスなのでクライマックスシーンはエルガーの威風堂々だし、そもそもキングスマンという組織自体が円卓の騎士に習った構成(ミニオンズに引き続いてここにもまたアーサー伝説)。これもまた「イギリス」なわけです。

 教会でのハリーの「活躍」シーンに見るように宗教に関わる知識も必要なあたり、ドタバタ系でありつつも実は結構楽しむための知的レベルは高いです。あれ、過激なファンダメンタリストと対峙するシーンなので、無辜の一般市民を相手取った場面ではない、のだけれど、知らないとわからないかもしれません。

 そういう背景も含めて、イカレたスタイリッシュな悪ノリを手を叩いて声を出して笑いながら楽しむ作品。

 ハリーが撃たれたシーンはたぶんわざと追いかけていないので続編にも彼が登場する可能性は高そうだし、シリーズ化してくれると楽しいですねえ、これ。ただ、その場合はぜひ続編もマシュー監督で御願いしたいんだけどなあ。