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「残穢」(人間の力はすごい)

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 小野不由美原作ホラー。ホラーといっても、派手派手しく驚かすタイプではなく、シチュエーションで追い込んでいくタイプ。特に、BGMの使用が最低限に抑えられているため、「音」の扱いが丁寧で素晴らしい。もし選べるのなら音響システムの良い箱で見ることを強くおすすめします。特にノイズに近いところの低音の再現や立体的な定位がちゃんとしているところ。立川の爆音でみたらすごそうなんだよなあ。
 「穢」の元となるのは人間の怨念や罪、それが人間とともについてまわりひろがっていく、という話。マンションでの穢が「建物ではなく土地についている」というのも斬新。つまるところ人間の精神力のなせる技で、それを感知して影響され、広めていくのもまた人間の精神、という「人間モノ」です。ある意味「人間賛歌」の一つの形。
 ただし、それはつまり「気がつかない鈍感」な人と、「気がついても折り合いをつけて受け流せる」人は影響されない、ということでもある。超常的なものもでてこないし、穢れをはらうようなものもでてこない。そのあたりもきっちりとしています。ただね、奥山家の「血の跡」の表現、あれはだめなのではないかなあ。みるからにてかてかしたあの外見では嘘っぽすぎるでしょ。ああしないと夜の日本家屋の中では目立たないから、なのだろうけれど、ならばそもそも夜にしなきゃいいじゃん、と。(そうすると見せ方がもう一段むずかしくなるわけだけれけど)
 個人的には炭鉱火災と私宅監置(呉秀三・樫田五郎の本は読みやすい現代語版がでています)をベースとした物語づくりにニヤリ、とさせられました。こういうのができのよう小説をベースにした物語のよさですな。
 それにしても竹内結子は上手に年をとったなあ、ということと、佐々木蔵之介がなかなかかっこよかった、というのが感想です。編集部のおにいさんはお気の毒に。