Anything Goes (again) ...

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たまった分をひとまとめに

「ミラクルニール」(誰にでも欠点はある)
 哲学も宗教もなく、悪ふざけとおばかを楽しみながら、犬にほろりとするのが正しい見方だと思う。昨年のイベント上映の時はどう構えればいいのかはっきりしなくて楽しみきれなかった部分があるのだけれど、今回は堪能しました。音響もずっといいしね。ただ、悪ふざけは悪ふざけ止まり、です。過去作のような毒は随分控えめなのは確か。ちょっとお上品になっちゃっているのはやはりそうなんだろうな、と。映像は豪華。毒を期待するとちょっと肩透かし、かもしれません。
 食堂のおばちゃん、ケイト・ベッキンセールの母親だったのかあ。


クレヨンしんちゃん
 子供用の下ネタと、大人用の落涙ポイントの巧妙な合わせ技。前回の中島かずきのかわりに、今度は劇団ひとりが脚本参加。「子を持つ親」の心情をベースに、「夢」といういわばなんでもありな世界を小道具とした強引かつ卑怯な完成品です。
 劇場の大人たちがほろほろしている気配が濃密にただよってくるあたり、やったもん勝ち、ですねえ。


キャプテンアメリカ シビルウォー」(保留が好きなので)
 この大量のネタがつっこまれた物語をどうするのかとおもっていたけれど、うまくやりました。ともすればすさまじい鬱展開になりがちな物語も、キャラクターの性格によりそうことで適度に明るくなり、見事にエンタメとして完成しています。今回の見所はやはりなんといってもジャイアントマンとスパイディー。あと、急激に人間臭くなってきたビジョンあたりか。
 プラックパンサーはやはり唐突感がいなめないし、他の「ウィンターソルジャー達」も勿体無い扱いだけれどあれ以上複雑にもできないんだろうな、と。ブラックパンサー陛下はキャブテン側の金持ちとして社長ポジジョンだし。
 ただ、個人的に気になるのはエージェント13。コミックスでは彼女が一旦キャプテンを殺してバッキーが二代目になる展開があるのだけれど、それをこの先に組み込むのかどうか…
 どちらにせよこのあともマーベルヒーローは大量に映画化されるので当分は物語には困らなそうです。


「アイ・アム・ア・ヒーロー」(正統派ゾンビ映画
 邦画でゾンビものってどれくらいあっただろうか。これは、まさしく王道のゾンビパニックもの。オヤクソクもわすれず、大胆かつダイナミックに物語がすすんでいく様はカタルシスばっちりである。はっきりいって、某巨大トカゲ映画が予告編でやった川崎でのパニックシーンとかが規則正しいマスゲームのようなお遊戯に見えるほど。ああ、パニックってこうなのだろうなあ、という説得力もある。邦画だって、やればできるのだ。やらないだけで(タイアップテレビ局がなく、撮影を韓国ロケでこなした、という力技も功を奏している)。
 この作品、なによりも大泉洋のビジュアルが「まんま」なところからインパクトが発生しているけれど、パンデミックゾンビものとしてもかっちりとよくできている。さすがR15。邦画でゾンビ、というと最近だと井口監督のヌイグルマーとかも踏み込んでいたけれど、あれはネタにはしった感じだったし、ロメロ作品とならべても遜色ない王道ゾンビなぶん本作のほうががんばった。これ、横須賀あたりで外人客が大勢いるところで見たら箱の中はおおさわぎだったろうなあ。
 原作は絵が苦手で実は未読なのだけれど、それでも尺におさめるために相当取捨選択したであろうことは伝わって来る。でも、その結果タイトルどおりのヒーロー譚となったのだからこれはこれで「あり」。
 とりあえず、「テレビ局」と「エグザイルとジャニーズ」が関わりさえしなければ(そしてへんなゲージツ性にかぶれなければ)邦画だってこういう作品を生み出せる、という道標を立てました。


ズートピア」(ちゅーしゃいはん!ちゅーしゃいはん!)
 冒頭のショートムービーがない、という時点で、今回のディズニーは真剣だぞ、という空気が伝わってきます。その通り。
 ディズニーの底力。不自然極まりない世界観をそれなりに説得力をもってみせてしまう勢い、その中でもキャラクターの力でサポートされる様ざまなシーン。物語は単純なのだけれどそれを感じさせない勢いのある演出。もう、今のディズニーをとめられるものはないんではなかろうか。
 そもそも、「動物が何千年も進化した」という割にはヒトやヒトと関わりの強い動物はまったくでてこないいわば「動物園」である上、動物達は極端に擬人化されているあたり、いろいろと想像してしまうわけで。産児数なんかは各動物固有のものになっているのに寿命は露骨にヒトのものだったり、これ、動物ではなくて人間を遺伝子改良して動物化させた世界、たとえば政治犯の収容所的な、なのではないか、と。(もしそうなら次作で主人公二人の「こども」は登場しうる)
 せっかく厚切りジェイソンをしこんでいるんだからついでにエンドクレジットに「本作品では動物は虐待されていません」表記もいれればよかったのになあ。あと、大川さんの「父親」がいかにも腹の立つなぐりつけたくなる感じがよくでていてツボでした。うまいねえ。
 結果として「差別」を描いたことになっているけれど、たぶん製作陣はあまり深く考えずに「動物をできるだけそのまま擬人化して物語をつくる」システムを考えた結果、なのでしょうね。後からでてきた初期設定のネタをみなくても、この世界では実は肉食動物のほうが不遇な目にあう社会構造になっていることは十分に伝わっているし。
 森川ニックに射抜かれた層が少なからずあるようだけれど、肝心の森川氏がなんでそんなに反響があるのかわからない、とのたまっているあたりがなかなか趣があります。


HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス」(「近くでみたら以外とグロイな」「うん」)
 正統派のヒーローモノになっためにR指定がはずれました(?)。福田組佐藤二朗以外は揃っていて、まじめに馬鹿なことをくりかえしていきます。オープニングもエンドクレジットも、マーベル意識しまくりだし、スパイダーマンとの関係はもうすでになにがなにやら。大量のリスペクト(?)パロデイ(?)もやりたい放題。
 ちょっと感じたのことは、井口監督の作風に似てきたのではないか、ということ。福田監督の「お行儀の良さ」がもうすこしふりきれればガチンコ対決できそうです。
 再登場した大金玉男の姿とか、フィギュアが欲しくなるようなアレな感じのデザイン満載でビジュアルとしても楽しめます。
 監督的には三部作にしたいとのこと、これはもう「変態仮面 vs 勇者ヨシヒコ」しかないでしょう!