Anything Goes (again) ...

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いくつかまとめて

聖の青春(松山ケンイチってすごい)
 そんなに昔の人ではない(面識のある人がたくさんいる)実在の人物をモデルとしたドキュメンタリースタイルの創作、という難しいテーマでつくられました。映画館はいつも以上に客の平均年齢が高く、たぶん、映画のそれぞれのシーンに対して知っていたり思い入れがあったりする人たちばかりなので、これは作り手のこだわりぶりが勝負を分けるな、と。とくに、この時代の小道具や背景描写って中途半端に新しいのでかえって再現がむずかしそうなところをがんばりました。東出羽生もそんなに似ていないなあ、と思っていたら対局の場面ではがっちりと羽生さんで、がんばったなあ、と。
 それにしても松山ケンイチがすごい。体型顔貌から、ピーキーな性格をイメージさせるところまで実に説得力があります。辛いけれど、刹那的でそれでいてどこか爽やかな後味を残すこの作品の要として申し分のない存在感。
 これ、レビューの評価を見ていると「将棋に思い入れのある」人たちからは酷評されている気配です。たぶん、亡くなったことで神格化されちゃったのだろうな、と思うと村山がちょっと気の毒になる。


疾風ロンド(初期の東野圭吾っぽい、かな)
 コメディ系サスペンス。とはいえ、ネタは途中からみえてきてしまうので、テンポとノリのよさを楽しむ作品、という感じ。俳優さんたちも楽しそうだし、これはこれであり、だと思う。
ただ、勢いよくおもしろい物語にした、というところから出てきていないのが少し残念。気楽に楽しめる一本にはなりました。

ファンタスティック・ビースト(安定し過ぎていて、もう何本かみないことには、という感じ)
 アメリカを舞台にして再起動したハリーポッター。あんまり目新しいものはありません。個人的にはJ.K.ローリングがp.g.a.に入っていたことが一番の驚き。二番目はDr.バルナッソス以来のあの二人の一役共演。あと、アメリカのMACUSAのすさまじいへっぽこぶり。イギリスからみたアメリカをこきおろす意図があるのかとすら思えるほどひどい。(まあ、ニュートのへっぽこぶりも筋金いりではあるけれど)。
 元のシリーズの細部からネタ出しをしつつ、今回も大きなシリーズ展開をするつもりのようなので、今後に期待、です。しかし、敵役にこれだけ大物をつかっちゃうとこれからがつらいのではないかしら。あと、ダンブルドアは誰がやるのか、とかいろいろと気になります。

妖怪ウォッチ(お約束のプラットフォーム)
 物語は安定の展開。さらに実写パートも達者な子役をもってきたことで違和感なくテンポよく展開します。ぶっちゃけ、やっていることはパターンの範疇なのだけれど、ビジュアルは頑張っているし、途中途中のメタギャグもよい感じだし、さすが、です。とりあえず、クレヨンしんちゃん的な安定の立ち位置をつくりつつある感じ。劇場の子供達が大きな声で笑っているのも立派です。物語としては、いろいろなアニメでやっているパターンの踏襲だし、特に挑戦的な部分もないのだけど、実写パートの組み込み方で成功しました。これ、次作ではもっとちがう事をしなきゃならなくなるんでないのかな?

Don't breath(普通のB級サスペンスホラー)
 サム・ライミの名前は伊達じゃありません。デトロイト(あの)を舞台に、まったく感情移入のできない、ダメなチンピラ三人が娘を失った盲目の退役軍人の家に押し入るけど返り討ちにあう話。これが、軍人側も一筋縄ではいかなくて、結局「どちらにも感情移入できない」ままラストまで突っ走ります。これ、もしかすると「若者たちに心情をよせられるように」しくんだつもりだったのかもしれないけれど、できあがったものは単なる「因果応報」物語。とりあえず、カタルシスとかはないです。
 映像の作り方は馬鹿に丁寧で、ゲームなんかで「最初にステージをなめるように説明する動画」が流れる感じも再現しているし、「一度通ったフィールド」が二度目にはちがう仕掛けによって別物になっている、といったところも再現していて、実に「バイオハザード」でした。ホラー好きならみておいて損はないかもしれない。映画としては、「ああ、B級をみたな」という奇妙な満腹感を得られるタイプ、です。