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この世界の片隅で(思わぬ伏兵)

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 1/3000集める軍港の呉のタイアップがでたときはこの作品のことを知らなかったので「?」だったのだけれど、タイムラインでの評価が極めて高いこともあり、劇場へ。うん、これはすごい。淡々と、それでいて独特の香りをもたせた時間が流れて行くだけ。なのだけれど、そこに主人公の存在が常に見えているためにかえって冷静な時代記録の様相をみせている。戦争に対して肯定でも否定でもなく、「あるがまま」をみせていくスタイルは圧巻です。自分ですら知っている場所がいくつもでてくるので、広島、呉の人にとってはなおさらだろうなあ、などと思いながら。
 そして、キャラクターの表現は原作にていねいによせつつ、背景の描写は容赦無く丁寧。そのために、画面の情報量が極めて膨大になっています。見終わると、集中していた疲れが感じられるほど。

 この作品の存在価値の一つは「クラウドファンディング」です。大手テレビ局とタイアップしなくても、良いもの、ちゃんとしたもの、作家性のあるものはつくれるのだ、という証。昨年から今年にかけては「君の名は。」も含めてそういった、たぶん業界人には思いもよらないところから大物が顔をみせてきました。これは、とても良いことだと思うし、日本テレビの子飼いになってしまっているようなあの人あたりも、今一度ここで再起すればよいのになあ、などとおもいつつ。宮崎のおじいさんが案の定また長編をつくるとか言い出したのも無関係ではなかったりするかもしれません。