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ドクター・ストレンジ(いつものカンバーバッチ)

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 とうとうあのカンバーバッチのマーベル参戦。まず最初に感動するのは冒頭、いままではアメコミのコマを重ねてつくられていたMARVEL画面が、これまでのMCUからのコマで構成されていたこと。ああ、ようやく映画だけで構築できるところまできたんだなあ、と感慨深いです。MCUもこれでもう14作目なのかあ。
 開始からしばらくは「性格が悪い外科医」の話ががつづくのだけれど、気をつけないといけません。個人的には「ここ」にこの映画最大の緊張ポイントがありました(たぶん人による)。あと、両腕の麻痺にいたる事故も完全によそ見運転の自分が悪い(そもそもドライブの最初から運転が荒すぎる)ので、その後も悲壮感にはたどりつかずにひたすら「性格の悪さによる自業自得」が目立つのはうまい演出。あ、ちゃんとエンドクレジットのラストに「車の運転には気をつけましょうね」的なメッセージが流れるので安心です。
 今回は、ドクターストレンジ誕生編、みたいなものなので、エンシェント・ワンが亡くなるところまで。ただ、ワンは引き継ぎをしなかったので、スティーブンはまだソーサラー・スプリームにはなっていません。次にでてくるとき、ですかね。独学でたどり着くのか、ワンが導くのか。そういえば、ワン役のティルダ・スウィントンって見覚えがあると思ったらヘイル・シーザー!の双子、ゼロの未来のロム博士だったのか。なるほど。
 ちょこちょこと小粋なネタをはさんで笑わせにくるのはずるいですが、面白いのだからしかたがない。予告編にも出てきた「未開人じゃないんだぞ」ネタの他にも、エンシェント・ワンに魔術の上達を認められて「あなたはこれでマスター」といわれて露骨に機嫌を損ねるところとか。スティーブンの記憶力がPh.Dとるときにも役に立った、とか言っているので一応「そういうドクター」も含意されているみたいです。ていうか、これ「Ph.Dとっても食えない」という作品なのでは。
 バスの中で楽しそうにしているスタン爺さんも、チベットマニ車を回すシーンもいいけれど、ぎょっとしちゃったのが禁断の魔術を身につけるシーンでバッチさんがりんごを囓っていたこと。死んじゃうじゃないの!(ほとんどどーもくん扱い)。一月のアプリモンスターズでもバッチさんがエニグマがらみで一瞬でてきたけどそこでもりんご持っていたし、どうしてみんな彼を殺そうとするのか。
 盛大にぐるぐるするCGは、まあなんというかIMAX-4Dとかだと楽しいのかもしれないけれどすぐになれちゃいます。90度ずれた壁にみんなでよいしょっと着地するところとかはもう少しうまくやってもいいのではないの?とか思ったけど。個人的にはこの映画で一番心臓がどきどきしたシーンはやっぱり冒頭のオペ、かなあ。ラスボスの倒し方も面白いです。面白いけれど、これって今回限りの禁じ手に近いやつだよなあ。ドルマムゥさんがちょっとかわいそうになった。
 なによりも自分としては「音楽がギアッチノ」というところで心奪われました。しかも、たぶんわざとメロディラインをよせている気配もあって、頻繁にイントゥ・ダークネスな気分になります。バッチさんも走るし。ずるいよ、こういうの。それにしても、マーベル感以上に「カンバーバッチ感」の濃厚なドクターでした。アベンジャーズではぜひとも社長と「こっちのホームズのほうが正統だ」みたいな口喧嘩やってほしいなあ。
 映画館の中で一番大きな箱でかかっていたのですが、上映前のメッセージが伝わったのか、エンドクレジットが全部おわって明かりがつくまで誰も席を立ちませんでした。こうでなくっちゃね。