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フリー・ファイヤー(シチュエーションものの佳作+高級ひき肉あたるのうらやましい)

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 ベン・ウィートリー監督作品。個人的にはハイ・ライズに続いて二作目、かな。極めて限定された時代背景と場面設定の中、「いまどきっぽい映画の流儀」を使わず愚直なまでにシチュエーションを追い続ける一本。これをやってくれると、観客としては実に気持ちいいし背後にスコセッシがいるのもわかるし、スコセッシ本人が撮りそうでもある。なにしろ時間軸は一本。回想なし、振り返りなしのノンストップ。回想シーンなんざ、丁寧な脚本と演出が機能してりゃいらないんだよ!という叫びが聞こえて来ます。
 出演陣がまたなかなかのもので、ひときわ体がでかく、割れた顎をヒゲでかくしたアーミー・ハマーから、みるからに食わせ者のシャールト・コプリー(この人、好きだわあ)、このまえはかっこよくゾンビ斬ってたサム・ライリーのかわいいちんぴらっぷり、などなど。
 映画冒頭で「日本の方へ」という監督のメッセージあり、「FBIの資料たくさん読んだんだけどさ、実は人間って銃で撃たれても簡単には死なないんだよ(意訳)」という、いわば本編の苛烈なるネタバレ(笑)。能天気映画になれちゃってると「撃たれたのに死なないなんておかしい!」みたいな苦情がくるのかしら、とか勘ぐってしまいます。あとは、90分ほぼどろどろな銃撃戦。ひたすら銃撃戦。ブラックパンサーとか当時のアイルランド情勢とかを知らないとなんのことやらわからないままかもしれないけれど、おかまいなし、説明なしです。そのあたりのいさぎよさがかっこいいし、そのおかげでたるみのない映画になる、という。伏線はあるけど、巻き戻らない。素晴らしい。
 贅沢な、映画らしい映画をみた、という満足感あり。と、同時によくこんなバカなもんをつくったな(褒めてる)という感想も(笑)。

 ブリー・ラーソンキングコングの時と印象が違うなあ、と思っていたら劇中でずばりといわれていました(笑)。ジョン・デンバーのおもしろいはなし、聞く前にアミハマさん撃たれちゃったのが悲しい。聞きたかったなあ。
 横浜市の交番にはフリーファイヤーのポスターをつかった違法銃器についてのポスターがあって、それってぜんぜん取り締まれないのではないか…そこそこ撃たれたくらいじゃ人間って死なないからね、という意味にならないか…と心配になりました。あ、「頭を潰せば死ぬ」というのはどうだろう(銃器関係ない)。

 見に行った箱は渋谷東映(写真は後で寄った武蔵野館だけど(笑))。1953年から続くふるい映画館で、いまでも相応の風格があります。頻繁にくるわけではないけれど、時折気になるものがかかると見にくる感じ。座席が広いのはうれしいけれど、椅子自体が古い形をしていて長い間座っている腰がちょっとつらくなるのが残念。その昔、デジモンを見に来た時は一階から階段で行列させられたな、とか、以前はニュース映像も流れていたよなあ、とかいろいろ思い出します。