Anything Goes (again) ...

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シェイプ・オブ・ウォーター(サリー・ホーキンス、またしても水に潜る)

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 怪異譚のかたちを借りた、ド直球王道のボーイミーツガール。某女性映画評論家というカタガキの人がテレビで「ありえない恋愛」と言い切っていたけれど、そんな陳腐なことを言える人は多分恋愛経験がないのだろうな、と。
 おとぎ話です。それもとても丁寧につくられたおとぎ話。おとぎ話なので、でてくる人たちもみんないい人。悪役相当のポジジョンであるはずのストリックランドですら、最後は可愛いやつにみえてくる不思議。この映画に関しては、大前提として「異形のものを受け入れる心」が試されますし、そこでたぶん一部の人は門前払いをくらうのでしょう。「自分とは違うものは受け入れられない」そういう人たちはスクリーンの向こう側からイライザに「てめぇら人間じゃねぇ!」と突きつけられるわけで、そりゃあ高い評価なんかつけないよね。
 クレジットがアンフィビアン・マンになっていたダグ・ジョーンズ、サルー副船長からのさらなる異形がまた実に名演技でした。
 ファンタジーというのは文部省選定モノではなく、常に異界や異形との接点に形作られるものだし、だからこそ、非現実的な物語を通じて「現実では語れない」大切なものを語るが故に、ファンタジーなのです。しかも、今回は監督の趣味を前面に押し出すのではなくストーリー重視でくみたてられているので、クリムゾン・ピークのときのような消化不良感もない。監督、やってくれたな、と。アマゾンの半魚人もここでようやく落とし所にたどりつきました。

 プログラムがありません。いや、正確には「FOXサーチライト」マガジンでその代わりです。なにもないよりはマシだけど、「映画のプログラム」のスペシャルな感じがないので残念極まりない。もったいないなあ。
これ、よくわからないのが「FOXサーチライト作品」だけどちゃんとしたブログラムを作っている場合もある、ということ。いや、繰り返すけど「ないよりはまし」なんですけどね。

 あと、この映画、はげにやさしいです。なんたって両生類は神様なので。

 デルトロ監督、この作品でアカデミー賞四冠。素晴らしい。