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CHRISTOPHER ROBIN「プーと大人になった僕」 (何が「幸せ」なのか)

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 イベントの空き時間に、幕張にて字幕で。
 大人になったクリストファーロビンの物語。マーク・ゲイティスがいい味出してます。100エーカーの森の連中も相変わらずのいつも通り。

 さて、もともと、クリストファーロビンにとってのあの森は現実逃避のための場でした。それゆえ、あの森にいる連中は全員(今回はカンガとルーだけまともでしたが)メンタルに大きな問題を抱えているし、いまでも抱えたままです。なので、クリストファーロビンがあの森を「出て行き」彼らを「忘れる」ことは単純に彼の成長を意味していました。それが、大人になって戦争を体験してブラック企業(日本人目線ではそれほどブラックじゃないけど)で視野が狭窄して病んでいくうちにまた「彼ら」を必要としていった、というお話。ラスト、家族で森に遊びにいく彼らの姿に一抹の不安を覚えてしまいます。

 「車窓から見えるものの名前を一つ一つ口に出す遊び」。これだけでも十分きわどいのに、森のやつらときたら「見えるもの」どころかダイレクトにそこで心象ばかりを口走る発達障害っぷり。プーが大人に見えてくるほどです。監督はそのあたりのことを「わかって」つくっているので、正直いって「彼ら」はしんどいです。ティガーは相変わらず迷惑なやつだし、ピグレットもえんえんと周囲にストレスをまきちらします。これが「大人のための童話」なのだとしたら、20世紀に夢見ていた「幸せな大人」なんてたぶんどこにも存在しないのです。

 もちろん、物語は良いはなしでした。でも、これは父親の精神的狭窄によって空中分解しそうになった家族が外からやってくる超自然なケアによって再度家族として再生する物語です。その過程で、父親は仕事を失いそうになり、すんでのところで超自然からのヒントで起死回生の復活を遂げ、仕事も家族もハッピー。凧揚げのかわりにみんなで海に行きます。つまり、これは現代のメリーポピンズなのです。ラストでシャーマン兄が楽しそうに弾き語りしているのは、従ってこの映画の一番幸せなシーン、といえるでしょう。

 それにしても、こいつといいパディントンといいtedといい、クマってのはどうしてどいつもこいつもこんななんだろう…