Anything Goes (again) ...

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脳内ポイズンベリー(誰も成長しないしみんなクズ)

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 乙女映画。キーワードは実は「自分らしさと成長の拒否」です。この映画、見事なまでに登場人物が誰一人として成長しない。
 脳内メンバーは自我を分割しただけあってそれぞれキャラが際立っているけれど、外部世界の登場人物は一人残らずどうしようもないダメ人間。特に、男性キャラがいらいらするほど全員クズ、というあたりがきっとポイントであり、逆にそれこそが「乙女映画」ならではの部分なのだろうな、と。
 クズ男にふりまわされ、そこから抜け出す、というのが本編の筋で、これはたぶん観客の共感が容易な展開。
そして、なによりもスパイスがきいているのが、その「主人公」ですらなにひとつ成長しないまま映画が終わる、というところ。アラサー女子を応援するようにみせかけておきながら、ものすごくドライに突き放している。
 これ、わざとやったのだろうし、全体にただようメタシニカルな空気が個人的にはおもしろかった。逆に、この構造がなければ登場人物全員がただひたすら鬱陶しいだけの話で終わっていただろうな、とも。
 とりあえず西島氏のドタバタぶりを眺めているだけでも楽しいかもしれない、というあたりが普通の落としどころかな。

 普通におもしろくするならば、「他の登場人物の脳内会議」と、「プライベートに踏み込んだ時の脳内会議の混戦」をやってもよかったのにな、とは思いました。