Anything Goes (again) ...

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Minute16(もうひとつのアメリカン メイド)

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 TYNARに先立つこと一年、1949年のモデル。外見はTYNARそっくりです。シャッターは1/60単速、ピントは固定、絞りは切り替え式の三段階。三脚穴とストロボシンクロ付き。TYNARと違うところは巻き上げにフィルムのパーフォレーションをつかっているところ。なので、巻き上げはレバー式です。側面のレバーを一度押し下げると、爪がパーフォレーションを一コマ分押し下げる、というメカニズム。ほんとにこれでうまくいくの?という気もしますが… 同じUniversalのマーキュリーでは、パーフォレーションに噛むギアがつよすぎてフィルムがよく破れた経験があるのでなおさら。
 フィルムマガジンもTYNARのものと似ていますがこちらはプラスチック製。送られたフィルムをうけとめるためのバネのような構造があります。これもまたフィルムを「裏側に巻いて装填する」タイプであり、なおかつ「パーフォレーションの向き」があわないといけないので、なんというかフィルムの装填が手間です。
 実際に使ってみようとすると、またいろいろとハードルをこえなくてはならなかったりしまして… まず、マガジンにフイルムがきれいにおさまりません。これは、テイクアップ側のスプリングのすきまにフィルムを送り込むのと同時に、供給側の蓋の内側にも出っ張りがあるせいで、要するにそのでっぱりの内側に収まる程度の分量のフィルムしかいれられないのです。これにあわせてフィルムをいれるのがまた面倒臭い。裏巻きする必要性からなおさら、細身に巻いていても、蓋を閉じる時には広がっているわけで、当然出っ張りにぶつかってしまってきれいに蓋が閉まりません。そして、(パーフォレーション側を巻き上げ爪サイドにあわせ、裏巻きにして)おさめたとしても、ちゃんと巻き上げができるとは限りません。そう、マーキュリーの悪夢です。フィルム送りの爪が細いので、少しでもフィルムに抵抗があるとパーフォレーションが切り裂かれ、まったくアドバンスしないのです。うーん、アメリカンメイド。
 さて、つめあわせで手に入れた動かないMinute16と比べてみると実は細部に違いがあります。動かない方は、ファインダーフレームが板バネで止まっていたり、絞りがf6.3, 8. 11, 16と四段階になっていたりします。あとで手に入れた方は6.3, 11, 16の三段しかありません。どうやら前期後期みたいなバリエーションがあるみたいです。どうも絞り4段のほうが後期型のよう。
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 いろいろ失敗をかさねつつ、「カートリッジの蓋をしない」、「スプリング状のガイドも使わない」、つまり、暗箱内で装填し、かつ、「外側からテープで固定して勝手に蓋が開かないようにする」、というスタイルでようやく撮影できました。
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 それでもなお、巻き上げ時にフィルムを切り裂かないか不安だし、たぶん、いきおいよく巻き上げると間違いなく切れるのだろうな、と。結構ダイナミックな収差もでるし面白いのだけれど、フィルム装填と送りの苦労を考えるとあまり常用する気持ちにはならない、かな、これは…
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