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アトムレンズ(科学のチカラ?)

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 20世紀の一時期に、科学の最先端にあやかろうとなんでもかんでも「アトム」付きにした時代がありました。そこには原子もなにも関係なく、単純に新しい科学っぽいでしょ、というアピール。アメリカなんかでは実際に線源つかって放射線効果付きにしちゃった代物もいろいろあって、今なら大問題だろうなあ、とか思ったりもするわけです。放射能ドリンクとか放射能スキンクリームとか放射能歯磨き粉とか、放射能現像液(!)とか、まあいろいろあったわけで、「アトミック」というのはそういう時代のキーワード。グレートのあれだって「アトミックパンチ」だし。日本だと文化包丁文化住宅の「文化」でしょうかね。時計の文字盤の夜光塗料が放射性物質を含んでいた、なんていうのは舌癌のケースから有名だし。そして、御多分にもれずレンズにもあるのです。アトムレンズ。
 「放射能」というキーワードに過剰反応する人たちというのはどこにもいるので、「アトムレンズ怖い」的な記事も散見されますが、逆に「ちゃんと測定している」記事もあるのでちゃんと情報の取捨選択さえできる人なら怖がる理由はどこにもありません。なんか現像液は体に悪い、とかとにたような混沌も感じますが。そもそもフィルムが感光しないのだからその後ろに構えている人間に影響とかあるはずがないじゃん、で普通はすむはなしです。

 「アトムレンズ」については、写真工業の2004年62巻9号に「今日からアトムレンズと呼ぼう 新種ガラス/希元素ガラス/ランタン・クラウンガラス/トリウム添加レンズへの提案」という丁寧な記事があります。ネットで検索すると「危険」とか「命がけ」とかの悪ふざけ文言もひっかかりますが、この記事ではきちんと計測した上で危険はないことを説明しています。とても良い記事なのだけれど、雑誌自体がもうないのが残念。この記事だけでもどこかで参照できるようにしてくれないものかしら。

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 と、いうわけで、放射性の酸化トリウムを含有した放射性レンズ、通称「アトムレンズ」です。後期型のSuperTakumer 55mmF1.8。レンズの収差補正に効果があったということで光学性能は高いのだそうです。いわれているとおり、後玉がほんのり黄色くなっています。手持ちのM42のホディ(contaxS)は引っ越しの荷物の奥に埋もれてしまっているのだけれど、たまたま「カメラはスズキ」さんにて露出計はNGだけどそれ以外は実に美品なペンタックスSPを格安でみつけたのでそちらで撮影してみました。とはいえ、撮って見たからと言ってなにかが違ったりわかったりするわけではない、のですが(笑)。

 スーパータクマーの中にも時期によって酸化トリウムをつかっていないものもあるらしいので、探そうとする人は注意が必要かもしれません。

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