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モルトの交換 (Canon デミの復活へ)

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 古いカメラはだいたいモルトが劣化しています。硬くなったり、崩れていたり、押すと潰れて戻らなかったり、等。当然、そこから光線を引いたりするのでよろしくありません。
 このデミも、半世紀たっているのでモルトもそれなり。なので、交換することにしました。
 モルトは、カメラ店でシートを買ってきて、形に合わせて切り出して貼る、のですが、AmazonにてCanonデミ用にカットされたモルト(しかも三台分)を見つけてこれを購入。以前、RTSの革を交換した際にお世話になったところです。


 モルトの交換は、まず古いモルトをカメラから剥がすことから始まります。モルトとそれを貼っている粘着剤はアルコールで緩むので、剥がしたいモルトにアルコールをかけて数分置いてから剥がして行きますが、だいたいポロポロなのでなかなかきれいに剥がせません。最終的にはこそぎ落とすような感じで、カメラ側に傷をつけないよう注意しながら進めます。デミのモルトは裏蓋の四辺に合計四枚が大小取り混ぜて貼られています。
 完全に古いモルトを除去したらアルコールが乾くのを待ってもう一度内部を掃除し、新しいモルトを貼ります。今度も、貼りたい場所をアルコールで濡らし、モルトを貼る場所に当て嵌め、アルコールが乾かない内に位置の微調整をして行きます。
 デミは、枚数が少なく形状もシンプルなので、モルト交換について言えば比較的簡単な部類かもしれません。

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 とりあえず、乾燥したので試写。特に問題なさそうです。子供カメラとして働いてもらわねば。

 

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Canon デミ(ハーフサイズの名機)

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「子供が生まれたから、カメラを買おう」という文化は、今でもあるのでしょうか。このデミは、自分が生まれた時に父親が手に入れたものです。昔のアルバムにはハーフサイズで撮られたの自分の写真が貼られていて、その一部はベタ焼きのままだったりして時代を感じさせます。その後、小学校くらいの頃には自分で遠足等の際に持ち出して使っていました。フイルムだってお小遣いで買うと安いものではないので、ハーフで倍の枚数を撮影できる、というのは魅力でした。
 今度は、それで自分の子供を撮ろう、と取り出してきたわけです。

 Canon デミは1963年発売のモデルです。レンズは28mmのF2.8、と明るく、セレンを使った追針式プログラム、ピントはゾーンフォーカス、と当時のカメラの基本をしっかり抑えていています。 説明書でも24×18サイズを「ハーフ」とは呼ばず「デミサイズ」と呼称する徹底ぶり。またこの説明書がいかしてます。オリンパスペンに4年遅れてブームのハーフサイズ戦争に参入した覚悟の機種、です。
 「初めての方の中には、カメラの使用法を難しく考え、非常に心配される向きもたくさんいらっしゃることと思いますが、一度キヤノンを操作していただければ、全ての心配が一掃され楽しく撮影していただけるものです」
 という一文にもキヤノンのプライドが感じられます。

 さて、ン十年ぶりに発掘してきたデミ、とりあえず相応に古いけれどメーターも動くしまだまだ働けそうです。さすがに、モルトが経年でダメになっているのでこれを交換すればまだ当分いけるでしょう。

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MinoxTLX (LXの最終形)

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 電子シャッターが改良されている、とか、表面がチタンコートされただけで中身はかわらない、とか情報の錯綜がみられる最終型ミノックスであるところの1996年発売のTLXです。LXに比べれば生産数が少ないからか、あまり見かけない気がします。前面にMINOXの文字が入ったことがおしゃれじゃない、とか言われていたりも。(このロゴがエングレーブではなく印刷 -こすると落ちる- なのでなおさら)
 まあ、外見上のLXとの相違点はその前面のロゴ、チタンコートによる色味の差、ダイヤル類のラベルが黒字、くらいしかないのも確か。要するに、「少し新しめのLX」です。とはいえ、どちらにせよ応分に古いわけですが。

 当然ながら使用感もLXと同様。結局、生産台数からいって「こなれた価格の動作品」を探すのならばLXの方が「あたり」が多いし、悩ましい存在です。

 

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 Rollei Rpx25、H&Wにて。

 

リバーサルの現像(もう一つの過去からの懸案)

 C41系のカラーネガ現像は、「低温調理器」という現代の新兵器で実行できました。後一つ、40年来の懸案はずばり「カラーリバーサルの現像」です。もっと早い時期に手をつけていれば市販の薬剤もいろいろあったのに、と悔やまれますがそれは今更言っても仕方のないこと。と、いうわけでいろいろ調べてみたりして。
 一つは、「河野式簡易リバーサル現像 Ⅱ http://kohno-family.jp/Film/joyful.cgi」というところの情報。ここでのスタイルは「反転露光なし」とか「第一現像にはパピトールを使用」「発色現像はオリエンタルのBAN-1R」とか、いろいろと興味深いことが書いてあります。(どちらも購入最低単位の量が多いのが悩みどころ)

 もう一つの情報源が、梅谷健彦氏の「低価格なカラーリバーサルフィルムの自家現像方法」(神戸大学医学部紀要 1994,55(1),23-27)で、こちらはE-6の代用処方をベースとしてCD-3等を用いずに実現しています。発表当時の表現で「1本当たり約200円」というのが゜「低価格」の理由とのことで、第一現像液、発色現像液、清浄液、漂白液、定着液、安定液の全ての処方が掲載されています。

 と、いうことで、まず最初に梅谷式で現像してみる、うまく行った後は河野式を参考に一部改変していく、というのが良さそうかな、と。具体的には、第一現像液をモノクロ印画紙用+ロダンカリに、定着液を市販のスーパーフジフィックスに、とか、反転露光が必要かどうか、とか。

 論文通りに進めます。途中の水洗、反転露光の便も考えて、今回はキングの片溝式リールで。ステンレスタンクに比べると液量が必要なのが難点ですが、フイルムを巻いたり戻したりの扱いは楽。

 考えてみたら、片溝式って使うの初めてでした。「タンク現像の実際」の記載にならって、ダークバックの中でタンクの蓋を逆さに置き、その上でリールを廻して巻き込み。確かに使いやすいな、これ。

 で、取りあえずできたのはこんな感じ。まだまだ色のバランスもコントラストも満足な出来じゃないけれど、とりあえずは「できました」です。

 次はどうするかな。

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Vesterbox35(タンクの歴史)

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 ちょうどタイミングが、というやつでオークションで入手したVesterboxの35mm版です。例によって、使い方はRondinaxのサイトから勉強。Rondinax35のマニュアルを見ていると、現像液は200ml使用。液の投入・排出時にもリールは回転させ続ける、とあってやはり「忙しい」のですこれ。仕組みとしてはシンブルで、フイルムの先端をクリップで掴み、リールに巻き込み、内蔵のカッターでパトローネから切断、後は一緒です。あと、まだ標準のパトローネというものが一般化されていない時代なので、ライカコンタックス、ロボット、とそれぞれに合わせてフィルム室を設定するようになっていたりします。
 このVersterbox、1952年の鈴木八郎氏の「タンク現像の実際」によると「平皿とタンク現像の合の子」と言う位置づけになっていて、なるほど、となりました。(ジュニア、という暗室を必要とするモデルはこの本を見るまで存在も知らなかった)
 ちなみに、本書には「全然暗室を使用しないでフイルムを現像したいということは、フイルムが発明されて以来の願望であるらしく」の言葉があり、ここでも強く納得してしまったり。
 Rondinax系は今でも利用者が多いみたいでこんなの https://www.thingiverse.com/thing:3688596 も出ていたりします。やはりみんなリールを回し続けるのが大変なんだ…

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 さて、せっかくなので使ってみます。ケントメア400を巻いてテスト撮影したもの。入手したモデルはリール軸にクランクが付いているので回転は楽そうです。いつもの一浴現像定着液を使ってみます。当然のようにリール軸からの液漏れが予想されるのでバットの上で作業(液漏れ、しました…)。

 現像が終わった状態。廃液の際に、今回も革ベルトの細かいゴミが一緒に出てきました。この辺りも経年を考えたら仕方のないところでしょう。

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 で、こんな感じ。

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 確かに、液漏れとベルトの劣化がなければ手軽に現像できるのはメリットです。キングのデイロード形式に比べても半分の液量ですみます。ただ、「今」日常的に使うとすると少し厳しい。Lab-Boxみたいな現代版がどれくらい広まるか、というあたりが勝負でしょうかねえ。問題は、慣れてくるとダークバッグでの巻き込み操作なんか全く苦にならなくなる、というところだからなあ。

Minox BL(B型の完成形)

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 1972年発売のB後継機種。72-73年の間のたった2年間生産のモデルで、生産台数が17,880台、というから少ない方です。情報もあまりないのだけれど、ちょうど「写真工業」の1972年12月号のレビューが詳しいので参考にしながら。
 BLはCの発売を受けてB型を改良したモデルです。自動露出は搭載せず、露出計の読み取り値をシャッターに移すタイプ、というあたりもB型と同様。異なるのは、露出計がPX675を電源とするCds型になったこと、シャッターからTがなくなったこと、10g近く軽量化したこと、フィルムカウンターが逆残式になったこと、そして何よりも「シャッターを切らなければボディを閉めてもフィルムが送られない」こと! これがとてもありがたいのです。
 実は手元にはシャッターの切れないBLがあったのですが、今回「露出計NG」のBLを別に入手(シャッターはO.K.)、電池ボックス内の掃除によって嬉しいことに露出計も復活、と相成りまして使ってみています。PX675の代わりにそのままLR44で代用しています。この機種はダイヤル類の目盛りは印刷ではなく彫刻してあるので多分初期型とでもいうべきタイプ、でしょうか。

 持ち歩いて見た感じでは、LXよりも軽いというところが大きなメリットです。気分的にはECとLXの中間くらい。なかなか良い感じ。

 LXよりもCよりのデザインなので、シャッターボタンが丸く、ボディの中央にあるのも良いです。気に入りました。

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 RolleiRetro80sをH&Wで。

Volvox(お遊びフイルム)

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 カメスズさんのフイルムガシャで入手したもの。要するに、事前にフイルムに感光処理がしてあるので、現像後が楽しみですよ、と言うやつです。

 こう言うのも昔は楽しもうと言う気分にならなかったので、歳をとると余裕が出る、みたいなところでしょうか。

 意図せぬ結果になるのを楽しむ、と言う側面もあるので、肩の力を抜かないといけないわけです。

 で、結論として、これはこれで楽しい(笑)。余裕のあるとき用、ではありますが。

 

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