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ひるね姫(エンジニア物語 ただしよくも悪くも神山演出)

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 まず、予告編が機能していません。まあ、よくあることですが。エンジニアの物語、ハード屋からソフト屋への時代の変遷、ホンダ、といったところ。いろいろと細かいところはひっそりとしまわれている(でもちゃんとある)ので、たとえば「エンドクレジットがはじまったらそそくさと帰る」ような映画を小馬鹿にするような人には本編の大切な部分が決して伝わらないように作られています。これはGJ。本編にもhuluの外伝にも描写がありますが「魔法」は実にリアルなものとして表現されています。なので、そのあたりの夢と現の整合性がきになる人はいるかも。
 神山演出です。なので、疾走感は限局的、全体的にゆったりとした演技と展開、わかりやすい派手な展開なんかありませんし、「異世界ファンタジー」でもありません。もちろん、ちょっとしたところにこじゃれたいたずらはしかけてあるのでそういうのを探すのは楽しいかも。ラストのハーツはわざとだろうし。物語の説明として一見たりないような部分は実は細部にほとんど説明されている感じ。一部(イクミさんのオリジナルコードの内容について)はたぶんあえて触れていないな、あれは。ただ、ハーツが「家へ」帰れといわれて最後のシーンにつながったのだとすれば、イクミさんにとっての「家」ってどこだったのかな、とか思ったり。
 良作だとおもうけれど、人を思いっきり選ぶ作品。あと、イクミさんがクラシカロイドのりっちゃんにしかみえません(笑)

 エンドクレジットの「あとに」も映像があります、という作品は増えてきたけれど、この先品はある意味「エンドクレジットこそが本編」です。映画本編はエンドクレジットから派生した「今」と「夢」、つまり午睡なのだから。

 さて、本作の「問題点」はその売り方にあります。ポッピンQと同様の構造、かな。実にもったいない。あの宣伝、あの予告編ではこれを「みるべき」人たちになにも伝わらないんではなかろうか。親子、エンジニア(ハード)、エンジニア(ソフト)、自動運転、攻殻機動隊の世界につながるかすかな空気、そのあたりでひっかかる人たちのためのおとぎ話、なのです。