ヤマト2202第五章 煉獄篇（うん、確かにこのシリーズ自体が煉獄）

　「ヤマト」です。昭和の時代に、新作が公開されるたびに、それを見てあきれ返り、目を閉じて首を横にふり、それでもなお新作が公開されると見てしまう、「あの」ヤマトそのものです。いままでもそのきらいはあったのですが、とうとうテレビ公開を前提として映画としての尺を考えるのを露骨にやめました。前半のデスラー物語、声優は豪華です。演出は、間延びしている上2199でわかっていたことのしつこい焼き直しです。後半は、大帝があいかわらず「感情」に対しては浅はかな知識と経験しかなく、地球アンドロメダ艦隊は土星海戦において「ただたくさんいるだけ」という映像的にも魅力のない単調な作戦展開をしてみせたり、彗星サイドも無駄にでかいだけのバルゼーでこけおどし対決を謀ったり、と微笑ましいです。アポロノームにいたっては艦長がささきいさおである以外の取り柄がなにもありません。あれじゃ、グレてドレッドヘアにてやさぐれたアンドロメダでしかないなあ。

　あげくのはてに時間断層では手癖の悪さとしかいいようのないデザインの「銀河」がつくられていたりします。マジで復活編に繋ぐ気なのか…

　キーマンなんかさらにひどいものです。デスラーと再会し、ガミラス民を救うために協力するのかとおもいきや、デッサンの狂ったテレサに「考えるな感じろ」と言われてころころとデスラーを裏切る、という。神谷さんも仕事選んだほうがいいよ、ほんとに…

　気がついたら、たいしてもりあがることもなく彗星は太陽系内に入り、土星宙域での戦いもなんか終わってました。寺の跡取り坊主のくせに子供ものために地球を捨てる（子供、自動的に死ぬよね）加藤とか、2199の設定を潰した上、レギュラーキャラとしては破格の安売りです。トランジット波動砲を撃てなかった結果、彗星からの流れ弾が月にあたって加藤のせいで月は粉々になったりするんですよね？これ？

　まあ、ヤマトのバージョンアップがあることはアナウンスされていたし、次の章で沈んで銀河がちょっとがんばり、最終章で新デザインのヤマトがでてくるんですかね。そろそろ沖田艦長は脳死から蘇ったりしそうです。興奮する場面もなく、感動するシーンもなく、泣ける展開もまったくなく、うん、実に僕らのよく知っているあの「ヤマト」でした。