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Minimax-Lite (ライター付きカメラという正当路線)

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 ローマの休日の一シーンを思い浮かべつつ1951年の鈴木光学のエコー8という、16mmフィルムをさらに半分に切って使う小型カメラを始祖とするならば、ライター付きカメラというものはある種ミニカメラの王道ともいえるでしょう。1981年製、日向工業のミニマックスライトです。このミニマックスライト、「ライター付きスパイカメラ」として、当時の雑誌にびっしりと商品の並ぶあやしげな通販ページで見たような気がするなあ。子供心には「大人」をイメージさせるライターと、スパイのカメラがくっついたアイテム、ということで一種の憧れの製品でした。スパイ手帳とか、スパイセットが人気だった背景もあります。たぶん、冷戦のせい(本当か?)。
 このカメラはなかなかの家系を持っておりまして、ほかに輸出モデルなのか「Supra Photolite」というものだとか、OEMとおぼしきCosmoOmega(Sun International Co.)とか、SLIMAX-LITE、翌1982年にライターをはぶいて小さくなったミニマックスが、さらにこれらを改良したアクメルM、MXが1985年。そして電子シャッターの搭載で完成系とも言える1993年のアクメルMD、そのOEM版である1997年発売フジカラー販売のMC007、あと、ピント最短が1mからとなっている同様のM2(CR123を使う)というモデルもあったみたい、さらには若干機能を削って本家MinoxのMXとして1999年に生まれ変わる、という、実に流転の機種であります。雑誌の通販コーナーのようなところから、20年を費やしてとうとう本家Minoxブランドにまでたどりつく、というのはドラマですねぇ。
 MinimaxLite → Supra Photolite → CosmoOmega → SLIMAX-LITE→ Minimax → Acmel M, MX → Acmel MD → (M2) → MC007 → Minox MX、という歴史。 もしかするともっとバリエーションあるのかも。
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 今回、入手したモデルはシルバーの本体。記載は「minimax-lite JAPAN」のみです。メーカー名もシリアルもなし。右に巻き上げ用のレバー、その横にシャッターボタンとフィルムカウンター。カウンターは自分で初期値をセットするタイプです。カメラとしてはそれだけ。反対側にはガスライターが内蔵されていて、引き出すとガス調節のネジとガスの注入口があります。実にシンプル。なので、ネットで情報を探したりしました。
 ライターとして使うときには普通にカメラのレンズが手で隠れてしまいます(笑)。このあたり、エコー8とは違って「合体させる」ことが第一義だったのだろうな、というデザインですね。まあ、タバコをくわえてからカメラを両手で持てば、不自然な格好ながらも火をつけながらシャッターを押す、ことはできるかも。さて、どうやらレンズは14.3mmでF8(!)、シャッターは1/60固定、というなかなか「マニアック」な(笑)カメラです… オークションでの値段もピンキリでばらついています。eBayをみていても結構いい値段がついていることもあって、こういうモデルの人気は高いな、と。ただ、1000円前後で落札されていることもあるので探している人は根気が大切、ですね。

 さて、せっかくなのでMinimax-LiteとAcmel-MXを並べてみました。なんとなく先入観で同じくらいのサイズ、というかライター部分にストロボを載せ替えた程度の、と思っていたのですが実際に並べて見ると随分違います。そもそもサイズ自体がMXの方がずっと大きい。さらに、レンズ位置、フィルム室の配置等も異なっていて、これは単にポリシーを揃えただけで、ほぼ完全に別物として作られているのがわかります。この「シリーズ」の開発秘話、みたいな文章のこっていないかなあ。いろいろとドラマがありそうなのですが。
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 ちなみに、現在「ライター カメラ」で検索すると隠し撮り用のカメラ内蔵ライターが山ほどひっかかります。まさに、MinimaxLiteが載っていた雑誌の通販広告のような世界。ミニマックスライトの時代、東西冷戦だったり「今日も元気だタバコがうまい!」だったりした時代においては、「スパイ」と「タバコ」はなんとなく「オトナ」をイメージする子供達の憧れのキードでした。駄菓子屋では「スパイセット(濡らすと溶ける紙とか入ってるやつ)も人気商品で、それがいまでは「リアル隠し撮り」のキーワードになっている、というのは時代を感じさせます。
 21世紀の今、子供達にとって「大人」をイメージさせてわくわくさせるキーワードって何になっているのでしょう。それとも、もう「そんなキーワードはない」のかも。

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