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リメンバーミー (ファミリーという呪い and, no condition)

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 安定のディズニー作品。王道どまんなかです。「リメンバーミー」の曲とタイトルの「coco」の意味がわかるころにはみんな号泣してるでしょ、という。家族の「絆」に縛られてもがく中で改めてその大切さを再発見する物語。祖先の因縁を解決する物語。物語がよどみなくすすみすぎて気がついたらエンドクレジット、なんてことになりかねません。この手のものをつくることにかけてはディズニーの地力は強大すぎて。
 個人的に気に入っているのは「ボーイミーツガール要素」と「父親と息子の絆要素」が皆無なこと。うん、ちゃんとわかってつくっているな、という印象。

 デラクルス、最後の一線で憎みきれない悪人なあたりが絶妙にうまい。たぶん、彼は自分に孫の孫なんか存在しないことをわかっていたはずなのだから。(でも、たぶんきにしないあたりが(笑))しかし、「顔と名前」で記憶されていなくてはならず、なおかつ顔については「写真」が必要とか、この死者の国って随分ドライかつ近代的です。

 さて、アカデミー賞の力もはたらいてか絶賛の嵐なこの映画(あ、もちろん字幕でみましょうね)、メインの物語よりも背景にある「呪い」と「赦し」が怖いのです。さすが死者の国、ホラーも忘れない。死者の都合で生者の身内に呪いをかけ、反したらそのまま死者の国にひきずりこみ、朝日とともに本当の死を迎えさせる、なんて。なので、この映画の一番感動的なセリフは終わり近くのイメルダの「and, no condition」なのです。あなたを無条件に許します(解放します)、というこの一言は家族による「赦し」もまたかたちをかえた呪いであったことを意味しているわけで…我々は日々を知らぬ間に呪われて過ごしているかもしれないのです。

 あと、この映画のヒロインはダンテ、おまけのアナ雪はオラフファン(ジョシュ・ギャッドファン)向け。クリストフはあいかわらず臭そうでした。