Anything Goes (again) ...

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美女と野獣(アニメ版に忠実につくりすぎた…かな?)

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 つい、なつかしくなるほどに忠実に再現されています。いくつか、実写オリジナルのシークエンスあり、何曲か新曲あり。だけど、忠実にしすぎたためにカメラワーク等々がアニメにしばられすぎていないかしら、と。そのあたりはちょっともったいなかったかも。
 でも、まさしく美女と野獣です。ディズニーが映画の世界で再生をはたすきっかけとなった一本、と理解しています。天井まで本棚そびえる素敵な図書室と、広い空間を縦横無尽にとびまわるダンスシーン。魅力的な妄人たち、どこにだしても恥ずかしい見事なクソ野郎であるガストン。
 体育会系の存在そのものを否定し、本棚の正義を前面に押し出す新時代のヒーローものを丁寧に再生してくれました。ガストン、ほんとにクズで笑えます。裏表がひどく、平気で嘘をつき、自分が得をするためならどんなことでもやらかすゴミ野郎。ありもしない「恐怖」を捏造して民衆をデマで怯えさせ、とどめのように「子供達が襲われる!」などとさらなる不安を煽りまくる。ガストンのやっていること、なんか見覚えがあるとおもったら、最近「反安倍」でさわいでいるサヨク系のひとたちとか、「フクシマ差別」のデマをとばしまくる手合いと同じロジックでガストンは民衆を煽動しているのですな。なるほど、クズって万国共通なんだな。
でも大丈夫、「ちゃんと」救われずに死にますから。そこはディズニーのカタルシスと正義がきちんと機能しています。
 フルCG化されたことで、召使いたちの動きにも磨きがかかりました。とくにルミエール!彼ばかりは実写の出来がすばらしくてアニメ版を忘れそうです。ルミエールとコグスワースがユアン・マクレガーイアン・マッケラン、というなんとも贅沢な組み合わせ。もうひとつアニメ版よりもよかったのがル・フウです。彼がガストンにつきしたがいつつもなんとかガストンを少しでもマシなやつにできないかと苦心している様子、最後にはガストンに裏切られたことでガストンを見捨てるための踏ん切りがつくあたり、実に見事だった。ジョシュ・ギャッドなのだもの。オラフなのだから歌もばっちり(これ、ピクセルの時のフレーズだ(笑))です。彼の存在感のおかげで、ガストンの体育会系としての人間のクズっぷりがさらにさらに引き立つ、という実に重要な役回り。もちろんおはなしの主軸はベルと野獣だけれど、彼らだけだと単にツンデレな文化的生活で終わってしまうわけで、やはり、この物語の影の主役はガストンです。ガストンがどれだけ完璧な人間のクズであるか、そこにこそ本作の命運はかかっていたし、そして、それは見事に成功しました。

 物語の王道っぷりは健在なので、ストーリーがわかっていてもはらはらするし感動できます。そのあたりのつくりもさすがディズニー。ガストンが卑怯な手を使うシーンでは劇場の観客が息を飲む音がひびいたほどです。

 そういえばビル・コンドンイアン・マッケランって、ミスター・ホームズの組み合わせでしたな。なるほど。