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ミニカメラとフィルム(フィルム自体がそもそも、というはなしはおいといて)

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 カメラ本体が入手しやすくなっても、肝心のフィルムがなければ写真はとれません。では、現在入手可能なフィルムは?というはなし。

 まず、大前提の「現行フィルム」のはなしから。2017年の夏の時点で、フジフイルムから一般用として出ているものはカラーネガがNatura1600、Venus800、Superia Preimium400、Superia X-Tra400、Fujicolor100、の五種のみ。リバーサルはVelvia50、Provia100F、Velvia100の三種。モノクロに至ってはAcros100の一種類のみ、という状態です。これがどれだけ壊滅的な状態か、というはなしはしませんが、NeopanのFもSSもSSSも400もミニコピーもありません。ほかも似たり寄ったりなので、「現行のフィルムを切り出して使う」にあたっての選択肢は狭い、と思うべきでしょう。ブランドとして残っているものも、昔に比べれば大きく値段が上がっていたりします。もちろん、そのぶん海外のフィルムのバリエーションもかわってきていますし、「カラーネガフィルムのモノクロ現像」というやり方もないわけではありませんが。
 期限の切れたフィルムが手に入る場合はどうか、というと、もうひとえに「どれくらい期限がきれているのか」と「保管状態」によります。ちゃんと冷凍保存されていれば相当期限オーバーしていても使えるかもしれませんし、そんなにたっていなくても高温多湿で放置されていたりすると使い物にならなかったり。「使い物にならない」というのはフィルム全体に強いカブリがでる、コントラストがでない、カラーバランスが崩れている、などなど。試し撃ちをした上で「わかっていて使う」のはありかもしれませんが。

 さてミニカメラのフィルムとして、16mmですが、実はこちらは「カートリッジをどうするか」がフィルムそのもの以上に重要です。カートリッジさえ手にはいれば、あとは既存の135や120のフィルムから切り出して使うことができます。単品のカートリッジは高値がついていることが多いので、基本的には「カートリッジのついてくる中古のカメラ」を探すことになるかと。eBayなんかだと、写真ではわからなかったけど届いてみたら中にカートリッジが入っていた、みたいなラッキーなこともままありますのでミノルタ16では、数が多く値段もさほどではない16P、16PSあたりで探すのがよいかも。ロシアの16mmカメラはvega2以降kievも含めて「そのままではミノルタには入らない」ので注意が必要です(カートリッジは比較的入手しやすいですが)。なのでロシアカメラとして楽しむか、巻き取り側の軸と蓋をミノルタサイズに変更するか、といった細工が必要。
 それ以外の16mmカメラは基本的に「カートリッジがないと使えない」上、独自規格のカートリッジだったりしますから手に入れる際にはカートリッジの有無をしっかり確かめるほうがよいです。
 16mm幅のフィルムを切り出す場合、カット用のフィルムスリッターはあまりオークション等にもでませんが、フィルム幅にあわせたガイドと、カッターの刃を固定したゲージを作ってダークバックの中で切り出す、というのが手です。あと、モノクロであれば、ORWOというメーカーが10m、あるいは100ftの16mm幅片側パーフォレーションの長尺フィルムを出しています。こちらは、かわうそ商店さんの取り扱いがあり。個人的にはこのORWOから適宜切って巻く、というかたちで使うことが多いです。もしかすると、昔の映像用16mmフィルムなんかが手に入ることもあるかもしれません。その場合、「映画用は基本的にリバーサル」であることをわきまえておかないと後で苦労するかも。余談ですが、一時期生産終了となっていた110はLOMOからまた発売されているので、一応こちらは「現行」ということで。そう考えると、実は今の時代で一番手強いのはAPSかもしれないなあ。

 Minoxは、16mmに比べても比較的簡単です。と、いうのも田中商会さん、シャランさんがいまでもモノクロ、カラー共にフィルムを販売してくれているからです。ただ、どちらも常時在庫しているわけではないみたいなので、購入前に確認は必要です。こちらも、カートリッジさえあれば既存のフィルムから切り出して巻き込むことができます。一時期はいろいろなフィルムスリッターも販売されていましたし、こちらも16mmと同様手作りでもつくれると思います(そういったwebページも結構あります)。自分は、eBayで入手したスリッターで135フィルムからの切り出しをして巻き込んでおり、時々カートリッジの補給も兼ねて出来合いのものを注文する、という感じです。冒頭の写真は、2017年にシャランさんからMinox用カラーネガフィルムを10本購入した時のパックです。いろいろとおまけもつけていただいたので幸せになれました。

 ところで、現像していると16mmもMinoxもカートリッジのブリッジ部分の板が折れることがあります。ここが折れてしまった場合、簡単な接着剤では強度がたりなくてすぐにとれてしまうのですが、最近では紫外線重合樹脂で補強する、ということができます。このやり方だとそれなりの強度がでるので再利用が可能になります。ただ、樹脂をもりあげすぎるとフィルム室でぶつかってしまうのでそこだけ注意。別項目に記事をつくりましたが、「ミノルタカートリッジの巻き取り軸とその部分の蓋」をシリコーンで型取り複製すれば、Kievのカートリッジもミノルタで使えるようになります。巻き上げ軸の直径以外は同じなので。もちろん、その気になれば「カートリッジ自体を複製」することも可能でしょう。テレンプ部分のフェルト素材をうまく選ぶ必要はありそうですし、樹脂の遮光も考えないとだめですが。

 総じて、将来のことを考えると余裕のある時に長尺を買っておいて密封して冷凍しておく、という保険をかけておくべきかもしれません。(少なくとも自分はORWOの16mmフィルムでそうしてますし、そのうち35mmも100ftで保存分を用意しようと思っています)