Anything Goes (again) ...

Yahooブログから移りました

Bell Kamra Model KTC-62(謎の素性の16mmカメラそしてラジオ)

イメージ 1

1959年の興和光器製作所製Rameraの別バージョン。すでに1948年に127フィルムを使った真空管ラジオ付きのトムサムラジオカメラがあったようで残念ながら世界初の、ではないではないみたいですが、もしかするとトランジスタラジオとの合体はこの機種が初なのかも。日本では1978年発売の110フィルムを使ったナショナルのラジカメのほうが知名度が高いでしょう。
イメージ 2

 この機種はBell International Corp. NY からOEM販売されたKamra。(ときどき誤解されているけれどBell & HowellのBellではないのでした)。カメラ部分だけを独立させたBell16という機種もあったとのこと。このBell International Corp.という会社もKamraとBell16の販売のほかには何をしていたのかよくわからない、という謎の会社だったりして、いろいろと想像をかきたてられます。もしかしてコーワの輸出用子会社とかだったのかしら、とか。コーワといえばプロミナだしコルゲンコーワだしカメラとしてはKowa6の印象だったけど、16mmもだしていたんですね。しかも、ラジオ付きという変則で。ラジオ部分が6石スーパーヘテロダイン、とか懐かしい(そういえばミノルタのソノコンについているラジオも6石スーパーらしい)。それにしてもRameraにしてもKamraにしても、絶妙になにかが奇妙なネーミングです。で、これって「ラジオ付きカメラ」なのか、「カメラ付きラジオ」なのか、どっちなんでしょ。むかしのラジオらしく、内部には回路図もちゃんとついています。
イメージ 3


 説明書には「世界初のトランジスタラジオ付きカメラ」という記載あり。やっぱり。006Pを入れて見るとちゃんとラジオも聴けます。アンテナの指向性が強くて本体の向きをうまく整えないといないので、「ラジオを聴きながら写真をとる」のはちょっとむずかしい。

 レンズはちゃんとコーワらしくProminarです。これだけでなんか贅沢な気持ちに。フィルムはミノルタカートリッジを使用。ミノルタのカートリッジがJIS規格として制定されるのが1962年のJIS B 7176(「16mmカメラ用パトローネの形状・寸法」)なので、ヤシカとは異なりJISになる前にミノルタにのっかることを選択した、ということですね。1959年というとまだミノルタ16しか出ていない時期なので、フィルムシステムを自社開発する手間を惜しんだと言ってもちょっとした冒険だったのでは(結果として16mmフィルムとしては長く続いたフォーマットではありますが)ないかと思います。ちなみに余談ですが、このJIS B7176を参照して見るとパトローネの形状寸法の詳細のほか、備考として「フィルムのパーフォレーションは、ブリッジ部にあるものとする」とフィルムの向きも規定されていたり、なかなか面白いです。
 ところで、Kamraにフィルムをいれると「側面から縦向き」となるので、ラジオの向きで構えた場合は「縦位置」になります。説明書の撮影例では横向きの作例になっているので、やはりカメラが主体で、ラジオを横にして撮る、というつもりなのでしょう。そもそもラジオの向きだとシャッターもおしにくいので。シャッターはB、50、100、200。絞りは3.5から11。一応シャッター音は速度にあわせて変化しているのですが構造上「開いているかどうかがよくわからない」ので、撮って見ないことには判断できません。

 さて、使って見た感想。まず、古いので仕方ないのですが、カメラ蓋裏のモルトがぼろぼろすかすかです。あけるたびに粉が散ります。また、フィルムゲート用のパーツが紛失しているせいかもしれませんが、カートリッジが中で少し浮き上がって巻き上げを空回りすることあり。まあ、このあたりは少し厚めのモルトに張り替えればなんとかなりそう。何度かつかっているうちにも巻き上げ用の軸への力のかかり方がわかってくるので、空回りしたら気がつくようにはなりましたが。

 で、現像してみるとなんか調子がよくないのです。コマは露出しているけれどぼんやりとしていてシャッターあたりになにかありそう。雨の松江城もこんなでした。しかし、カメラ部分見ているのだけれど、シャッターにアクセスするためには相当ばらさないといけない感じで躊躇しています。

イメージ 4