Anything Goes (again) ...

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Pentax ME(パンケーキレンズと共にある小型カメラのイメージ)

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 MXを使っていたころ、MEも発売されていました。実際にはMXの1ヶ月遅れの発売。マニュアル機とオート機、というスタイルもまたOM-1と2を意識したものだったはずです。ただ、MXが酷使前提のフルマニュアル機なのに対して、MEは小ささと手軽さを兼ね備えたスタンスで、当時のパンフレットで上野千鶴子さん(もちろん、写真家の方)がパンケーキ40mmをつけて持ち歩いている様子なんかもみました。Mシリーズ自体、MXではなくこのMEからの派生として続いていきます。ただ、カメラを触り始めたばかりの中学生だった自分にとっては、完全にオートに振り切った(とはいえ1/100とBはメカニカルなのです)MEはMXに比べると物足りない感じがして、結局手にすることのないまま何十年も過ごしてきたのですが、MXを探している時に、ちょうどパンケーキ付きのMEもオークションで発見してしまい、手元にある、ということに。今ならば、パンケーキレンズにオート機、というのが持ち歩いて写真を撮るのにいかに魅力的なパッケージか理解できます。35mmくらいをつけてパンフォーカスで町歩きスナップ、とか、当時の宣伝にあったようにパンケーキレンズをつけてハンドバックに忍ばせる、というのが楽しそう。
 MXが露骨なまでに対OM-1戦略だったのに対して、MEはサイズ以外にはさほどOM-2を意識している気配はありません。とはいえ、システム一眼としてのオプションはほぼMXと共用なので戦略的にはできただろうになあ。ニコンも後にEMから始まるコンパクトオート機をだしますし、ちょうどそういう時代であった、ということもできるのかも。マニュアルからTTL露出計内臓、AEからプログラムAE、そして次のオートフォーカスという山を目指していく過渡期の一眼レフです。

 

 さて、オークションで手に入れたMEです。シリアルは9から始まっているのでMXでいうところの初期型でしょうか。電池をいれたところ、露出計もちゃんと動くしシャッターもきれます。シャッター音も問題なさそう。「ペンタックスのすべて」の最後のセクションで触れられている「パンケーキ40mmとの組み合わせ」です。小さいデジカメがあたりまえになってしまった今の時代では、この組み合わせの小ささ、軽さの素晴らしさを伝えることは難しいのだろうなあ、と思いつつ、それでも、これは革命的なサイズ・重さだったのですよ、と強調せざるを得ません。
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 ペンタックス最後のAOCOマークもあります。金属製のペンタ部に堂々と刻まれたAOCOロゴ。
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 さて、発売から40年以上すぎて初めて使うME。いろいろと知らなかったことがあって楽しいです。なにより、なんとなく「マニュアルとオートの違い」くらいしか考えていなかったので、MXとこんなにも違うのか、という驚きが。もちろん、絞り優先オート専用機(ただし、大きな露出補正ダイヤルあり、そして機械シャッターによる1/100はある)ですし、シャッターも縦走りなので違うのは当然ですし、MXの最小記録をさらに塗り替えたモデルなのでMXよりも小さいのです。その小ささは、持った瞬間にわかります。なるほど、これはパンケーキレンズとセットにしたくなる。さらに、電池ボックス部のネジ蓋も違うし、なによりも巻き上げ角がMXよりも30度ほど少ないのです。そのせいか、分割巻き上げはできなくなっていますが。同様に、絞り込み像の確認ができません。ここは思い切ったことをしたなあ。そのかわり、MXにはなかった「フィルム送り表示窓」が背面につきました。巻き上げ時に動くのですが、うーん、これはいまひとつ有用さがわからない… フィルムの装填が確実にできているかどうかを確かめるため、なのかしら。だって、巻き戻しクランク回るでしょ?
 そういえば、英語版マニュアルにはペンタックス純正のME用「ベルトクリッブ」なるものがのっていたのだけど、こういうものがつくられるのも小型さゆえでしょうねえ。特に手の大きい人にとってはMEは「小さすぎる」という文句も出たくらいらしいので。このベルトクリップ、実物見たことないけど。(ちょっと欲しい)

 

 MEのファインダー内表示はシンプルです。MXと相対するかのように、視野の左側にシャッタースピードとOver、Underの表示があるのみ。しかも、LEDが赤一色です。これ、OverとUnderを赤にして、他のスピードを緑かなにかにしていてくれれば視認性よかったろうになあ。あと、この時代のカメラの常ですがファインダー側からの迷光で露出が動きます。目をはなして撮るときはアイピースをふさいだほうがよいです。ひょい、とかばんにほうりこんで気軽に街につれだすカメラ、として、MEはなかなかの完成度だ、ということを再確認しました。時折連れ出してあげないとな。

 

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